202510月年10月31日に開幕する春の高校バレー鹿児島県予選に向けて、注目のシード校を紹介するシリーズ。今回は第3シードの男子・鹿児島商業バレーボール部に迫る。
30回の全国大会出場を誇る伝統校の現状
県内最多となる30回の全国大会出場を誇る鹿児島商業だが、ここ4年間は春高の舞台から遠ざかっている。新チームの成績も全て3位で、優勝は一度も達成できていない状況が続いている。
かつては鹿児島バレーの代名詞とも言われた伝統校が、王座奪還に向けて今夏には県外で1カ月近く合宿を行うなど、強化に取り組んでいる。
2年生が支える2025年チーム
2025年の鹿商バレーボール部の特徴は、スタメン6人のうち4人が2年生という若さにある。チームの一角を担うアウトサイドヒッターの力武大耀選手(2年)は「2年生が多いので3年生に負けないように自分たちがコートで引っ張っていきたい」と意気込みを語る。

若いメンバーが多い中で、チームを支えるのは2024年の県予選でもスタメンだった2人の3年生だ。キャプテンを務める川畑雄大選手と、セッターの田原一成選手が中心となって若手を引っ張る。
進化するプレースタイル
川畑キャプテンは2024年からのチーム変化について「速いトスに変わってテンポが速い攻撃で相手を翻弄するプレースタイルに変わってきた」と話す。攻撃のテンポを上げることで、相手守備を崩す戦術への転換が見られる。
一方、チームの司令塔である田原一成選手は2024年決勝で敗れた悔しさをバネに「去年は思うようにいかなくて負けてしまったので今回は絶対に勝ちたい」と強い決意を示している。
アスリートスポーツ科の新設で練習環境も変化
学校には2024年からアスリートスポーツ科が新設され、選手たちのバレーボールに取り組む環境も大きく変わった。練習時間の確保によって「選手の競技に対する理解度が上がった」と徳重監督は手応えを感じている。
技術面だけでなく、競技への理解を深めることで戦術の幅を広げ、より高いレベルでの戦いを目指す姿勢がうかがえる。
伝統校の挑戦が始まる
県内バレー界を長年リードしてきた鹿児島商業だが、近年は春高出場から遠ざかっている。アスリートスポーツ科の新設や攻撃スタイルの変化など、チームは変革の時を迎えている。
若い力と経験者のバランス、そして新たな環境の中で、再び春高への扉を開くことができるのか。30回の全国大会出場を誇る伝統校の挑戦が、間もなく始まる。
