去年11月、山口県岩国市の高校で掃除時間中に女子生徒の体を触った罪に問われていた元教頭の裁判で、山口地裁岩国支部は罰金10万円の有罪判決を言い渡しました。
判決によりますと山口市の高校教員・綾木誠被告(55)は、去年11月、当時、教頭として勤務していた高校の印刷室で、清掃時間で掃除をしていた女子生徒の臀部を両手で触った暴行の罪に問われています。
これまでの裁判で綾木被告は「両手で触ったというのは瞬間的・偶発的なもので故意ではなく、暴行にはあたらない」と起訴内容を否認していました。
検察側は「自己の性欲を満たすために女子生徒の臀部を包み込むようにして触った」「犯行の様子は同級生が目撃していて、被害をうけた女子生徒が母親や友人にLINEでメッセージを送り、警察へ相談したことで発覚した」などと指摘していました。
一方、弁護側は「印刷室にあったコピー用紙が崩れ落ちそうになって、手を差し出した時、女子生徒に偶然、手が当たったもので、故意は認められない」と主張していました。
28日に開かれた判決公判で山口地裁岩国支部の佐野東吾裁判官は、被害者が「被告はゴミ袋を取りに来た際に臀部を両手でぴったりくっつく形で下から持ち上げるようにして触ってきた」という証言に不合理な点は見当たらず、母親と友人に対して「掃除中に教頭におしり触られた」とLINEを送っていることとも整合すると指摘。
「ゴミ袋程度であれば手に持っていたとしても動きが制約されるとは考え難く故意に被害者の臀部を触ったと認められる」としました。
その上で「被告は当時、教頭という責任ある立場でありながら、生徒である被害者に対して犯行に及んでおり、厳しい非難に値する」
「被告人は被害者の臀部に当たったかどうかは覚えておらず、仮にあたったとしたら偶然当たったもので故意ではないとの弁解に終始しており、真摯な反省は見られない。
一方で、犯行はごく短時間に留まり、被告人には前科前歴もない」などとして、求刑通り、罰金10万円の有罪判決を言い渡しました。
判決を受けて山口県教育委員会は「判決内容を踏まえて処分を検討していく」としています。