特集です。
水道管や道路の架橋など、社会インフラの老朽化が喫緊の課題となる中、インフラ整備に不可欠な建設業の現場が、大きく変わりつつあります。


<ドローンの動きを見つめる高校生たち 23日・庄原市西城町>
工事現場を訪れた高校生たち。
国土交通省と企業が共同で見学会を企画しました。
彼らが見ているものは、土木業界の今です。

【参加した高校生】
「こういったデジタルなものを使ってやる建設というのはとてもびっくりしました」
「今の技術を利用して、どれだけ効率よくできるかということがあったのかなと感じました」

急速な少子高齢化による労働人口の減少は、インフラを整備する土木の世界にも影響を及ぼしています。

【国土交通省 三次河川国道事務所 横山洋範 課長】
「人口が減っている中、土木業界においても就業人口が減っているという実態もあるので大事なインフラ整備をしていく上では、いかに省人化を図っていくのかは大きなポイントだと思う」

国土交通省は、3次元データの活用などで、生産性向上を目指した政策を推進することで、労働人口の減少に対応する建設業のDX化を進めてきました。

【国土交通省 三次河川国道事務所 横山洋範 課長】
「今までICTを使って、現場の施工を進めて、その後は設計や施工、維持管理に向けて3次元モデルを活用したビムシムを使ってインフラDXに取り組んできた」


「ビムシム」とは、データの収集を機械化し、デジタル化して、管理、保存するシステムです。
これまで、紙だった図面は、3D画面で「見える化」され、工事の細部まで、より分かりやすくなりました。
そして、今、土木の現場では、次なる進化が始まっています。

【国土交通省 三次河川国道事務所 横山洋範 課長】
「今後はオートメーション化です。自動施工や遠隔施工こういったものが、ほぼ現実に近づいているので、どんどん進めていければと考えています」


データを入力すると機械が製品を製造する土木の3Dプリンター。
ベテランの技術者が少なくなっていく中で、これまで、職人技に頼ってきた作業を機械が行います。


庄原市の道路建設の工事現場。
見学に来たのは、建設業に興味を持つ高校生たちです。

<ドローンが自動で離陸>
基地から自動で飛び立つドローン。工事の進捗状況などを調査したり、図面を作成するための情報収集など、今やドローンは、建設現場になくてはならない存在です。

そのドローンを操作するのは・・。

【鴻治組土木設計部・今井和義 課長】
Q:リアルな映像ですか?
「リアルです。実際の庄原の(工事現場の)映像です」

庄原市の現場のドローンを広島市内の本社から操縦しています。

【鴻治組土木設計部・今井和義 課長】
「インターネット回線がドローンの基地とつながっていて、それをパソコン上のソフトで操作している」
Q:インターネット回線が繋がっていればどこでも飛ばせる?
「パソコンさえあればどこでも飛ばす事が可能です」
Q:操作は難しい?
「市販のゲームコントローラーで、普通のドローンと同じような操作が出来るように設定しています」

「ズームいきます。今はズームが7倍ですが、これが14倍、

56倍、112倍まで最大いけます」

作業の進捗状況などを毎日、ドローンで記録し、集めたデータは、デジタル化されて保存されます。

【鴻治組土木部・福田兼章 次長】
「本当は毎日ここ(現場)に来て、ドローンを上げて、そこから撮ったものを事務所に持って帰って、それを解析してという作業が8割ほど減になって、かなりの省人化になっています」

さらに、遠隔操作のドローンにはこんな機能も・・。

<AI音声>
「ようこそ青陵高校の皆さん。遠隔自動航行ドローンからAI音声の声でご挨拶させていただきます」

ドローンから、音声アナウンスをすることもできます。

【鴻治組土木設計部・今井和義 課長】
Q:ヘッドセットで直接喋ることもできる?
「できます」
Q:避難誘導やイレギュラーな注意喚起もできる?
「広島市の本社から現場に向けてアナウンスすることも可能です」

技術の進化は、土木業界のイメージを大きく変えました。

【参加した高校生】
「やっぱり建設現場と言ったら力仕事だったり、体を動かしてなんぼというイメージがあったので、とても素晴らしい体験ができたと思います」
「力仕事もあるかもしれないが、私たち女性にも出来る仕事はあるのかなと思いました」

技術の進化は、新たな働き方を生み出す可能性を秘めています。

【鴻治組土木部・福田兼章次長】
「力仕事をすることが大分なくなってきたと思う。今までは現場に来て重機に乗っていたというのが、これからは家にいても重機に乗れてコーヒー飲みながら運転しようかなどということも、もしかしたらできるのではないかなと思う」

社会インフラの老朽化が指摘される現代、建設業界の未来を新たな技術が支えています。

【国土交通省 三次河川国道事務所 横山洋範 課長】
「民間の方で色々な技術を組み合わせて、技術の発案をもらっている。そういうものを使いやすいフィールドを我々としては用意していくことで、色々な技術が出てくればいいと思っています」

<スタジオ>
【矢野ディレクター】
かつて、建設業は、製造業などに比べて、生産性が低いと指摘されていました。
そこで、この問題を改善しようと国土交通省が主導して始まったのが、建設現場におけるICT(情報通信技術)を全面的に活用し、生産性を向上させる取り組み「i-Construction」(アイ・コンストラクション)政策なんです。

VTRにもあったBIM/CIM(ビムシム)ですが、図面や作業のデータをデジタル化して、3D画像で見ることができます。

紙で何10枚もある設計図面から、作業の進捗状況などを管理するには、長い経験が必要でしたが、これにより、簡単に正確に状況を把握することが可能になったんです。

さらに、次のステップとして、今、行われているのが、作業の自動化、遠隔化なんです。

データを入力すると、モルタルで製品を自動に製造する機械、これまで、製品を作るには、技術者の職人技に頼る部分もありました。
現在は、高齢化により、技術者が減少する対策として、このような技術が実用化されています。

そして、遠隔操作と自動運行が可能なドローン。
インターネット回線を使って、どこからでも操作できます。
時間と運航をプログラムしておけば、時間で、自動に飛行して作業します。
作業が終わると自動的に着陸して、充電も自動で行います。
今や土木作業の現場は、大きく変わりつつあるんです。

これまでの建設業では、設計、デザインの分野には女性が多かったが、土木部門は、極端に少なかったのです。近年、現場監督に女性が増加、今、土木の世界もずいぶん多くの女性が進出しているという感じですね。

テレビ新広島
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