修学旅行費、コロナ禍前から6000円増加

秋の訪れとともに修学旅行シーズンが始まっているが、続く物価高の影響で子どもたちの修学旅行にも変化が生じている。中学生の修学旅行費用は平均7万456円となり、コロナ禍前の2019年度と比較して約6000円も増加した。

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「宿泊費代金、食事代、燃料代によるバスの代金も上がっている」と語るのは、富山県内で多くの修学旅行を企画するJTB株式会社営業第1課の榊原浩二課長だ。物価高の波は、子どもたちの大切な学校行事にも確実に押し寄せている。

予算内で実現するための工夫

限られた予算内で質の高い修学旅行を実現するため、旅行会社はプラン調整に知恵を絞っている。

「貸切バスを利用する時に、利用時間を短くして経費を抑える、バスガイドを付けないことで人件費を削減するなど、様々な工夫をしている」と榊原課長は説明する。

県内の中学校からは「交通費や宿泊費の上昇で、これまでの内容を維持するのが困難だ」という悲鳴にも似た声が聞かれる。BBTの取材では、貸切バスから公共交通機関への切り替えや、配布品・予備部屋の内容見直しなど、各校がコスト削減策を模索している。

オーバーツーリズムが行先を変える

費用面の課題だけでなく、観光地のオーバーツーリズムも修学旅行先の選定に影響を与えている。京都や奈良といった従来の定番コースから別の目的地を探す学校が増加しており、その受け入れ先として富山県が注目されているという。

とやま観光推進機構企画販売部の古邸幸裕部長は「現地研修で来てもらった先生がやはり富山はいいと、それで修学旅行を決めた学校が少し出てきている」と手応えを語る。

「思い出づくり」から「学びの旅」へ

近年の修学旅行は「思い出づくり」から「学びの旅」への転換が進んでいる。企業訪問・工場見学や農業漁業学習など、生徒自身が「体験」を通じて学びを深める「探究的な学習」を取り入れる学校が増加している。

自然に恵まれ伝統工芸が息づく富山県は、こうした新しいスタイルの修学旅行先として高い評価を得ている。

「自然は富山の大きな武器、キラーコンテンツである、立山黒部アルペンルート、黒部峡谷、五箇山、最近の傾向としては、体験、産業的な体験や、自然体験の問い合わせが多い」と古邸部長は富山の魅力を語る。

新たな広がりを見せる富山の魅力

物価高騰や観光地の混雑という課題を乗り越え、修学旅行は新たな形を模索している。自然体験や産業学習を通じた「学びの旅」としての富山県の魅力は、こうした時代の変化の中で新たな広がりを見せている。

富山テレビ
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