秋田県湯沢市の住宅内にクマがとどまり続けて、23日で4日目の夜を迎えました。クマが居座っている場所の周辺には、建物、特に飲食店が集中しています。

現場周辺を取材すると、すぐ近くに国道13号線があるため、車通りはかなり多い上に、夕方になると下校する子どもたちが多くみられました。

住民生活に大きな影響が出ていて、早い解決が望まれますが、いまだ捕獲には至らず対応が長引いています。

湯沢市産業振興部・高橋聰部長:
「隣の民家には生活している人がいるので、銃弾の跳ね返りなどの危険性があり、対処方法としては、緊急銃猟には該当しないと判断している。人の気配をできるだけ遠ざけて箱わなに入るのを待つのが、現段階で確実に安全に捕獲できるという判断のため、今の状況を保っている」

湯沢市は、次なる手段も視野に入れているものの、周辺に住宅と飲食店が立ち並んでいるため、「緊急銃猟」やクマを刺激するような捕獲方法は実施できないのが現状です。

クマの生態を研究する秋田県立大学の星崎和彦教授は、次のように指摘します。

県立大・星崎和彦教授:
「『この辺にクマがいるから気を付けてください』と周知をすることがクマにとってはプレッシャーで、その時点でクマは人間やパトカーから隠れたい。湯沢市の事例はシチュエーション的に、どこに隠れようかという時にドアを開けた人がいる。襲われた住人は不運でしかない」

では、なぜクマは住宅にとどまっているのでしょうか。

星崎教授はその要因について、「湯沢市に居座っているクマは、警察官が周りを囲んでいるため、出るに出られない。居座っている住宅に食べ物がいっぱいあって、外の状況などはともかく、ハッピーだった可能性もある。人間の家だから、何かしらの食べ物が貯蔵されている」と話します。

県内では10月に入ってから、クマが人の生活圏にとどまるケースが相次いでいて、横手市と仙北市では緊急銃猟が実施されました。

星崎教授は「いつどこで人身被害が起きるか、いつどこで居座りが発生するか分からない状況にすでになっている。それが一番大きなリスク」と注意を呼びかけます。

また、高齢化などが理由でクマと人の生活圏の境界線を押し返すことができず、クマが街中に近づいていると指摘します。

星崎和彦教授:
「何かの拍子に、クマが本来の境界よりも私たちが生活する人里側に入って来てしまうことがあり、そういうクマは隠れる場所を探さないといけない。隠れる場所の中に、人通りの少ない通りや、あまり使わない部屋を長い間キープしている家、出入りの少ない家。そういう所がクマの隠れ場所として選ばれてしまうことを、可能性として想定しなければならない」

星崎教授によりますと、クマには個体差があります。

人には遭いたくないクマ。人は大丈夫だと考えているクマ。ですが、共通しているのは食べ物への執着心です。クマは学習能力や記憶力があり、人里で一度おいしい思いをすると、二度、三度と訪れるといいます。

クマの隠れ場所となる暗い場所にセンサーライトを設置することや、クマの餌となるごみを放置しないなど、できる対策をした上で、しばらくは「クマがすぐそばいる」ことを忘れずに生活する必要があります。

秋田テレビ
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