2023年、長野県佐久市で男性を車ではね、山の中に遺棄して殺害した罪に問われている男の裁判員裁判で、検察は「被告は被害者が生存していて、救命の可能性があることを認識していたのは明らか」などとして懲役15年を求刑した。一方、弁護側は「遺棄した時点で被害者は死亡していて死体遺棄の罪が成立する」などと主張し、結審した。

争点は「殺人罪が成立するか」

殺人とひき逃げなどの罪に問われている佐久市の佐藤英伸被告34歳。

起訴状などによると、2023年12月、佐久市の県道で近くに住む男性(当時85歳)を運転していた車ではね、その後、男性を車に乗せて約30キロ離れた長和町の山林に遺棄して、多発性外傷と低体温症により死亡させ、殺害したとされている。

男性を遺棄したとされる山林
男性を遺棄したとされる山林
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裁判は「殺人罪が成立するか」が争点で、検察側は、「救命の可能性があることを未必的に認識していた」とし、殺意があったと主張する一方、弁護側は、「男性はもう助からないと思っていた」などとして「殺人罪は問えない」と主張している。

検察側は懲役15年求刑 

10月23日の裁判で検察側は「被告は被害者が生存していて、救命の可能性があることを認識していたのは明らか。動機は身勝手極まりなく卑劣で危険な犯行」などとして懲役15年を求刑した。

一方、弁護側は「遺棄した時点で被害者は死亡していて死体遺棄の罪が成立する」と述べ、「冷静で公平な量刑」を求めた。

最後に発言の機会を与えられた佐藤被告は、「どんな処罰でも受け入れて、一生かけて償っていきたい」と、涙ながらに話した。

初公判
初公判

判決は10月30日に言い渡される。

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長野放送
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