物価が上がり続け生活の厳しさが増す中、家に眠っている金の製品が想像以上の金額で買い取ってもらえる可能性がある。最高値を更新し続ける金の買い取りの現場を取材した。
10月から3024品目が値上げ…「金」が高値に
「秋の値上げラッシュ」が到来している。
民間の信用調査会社帝国データバンクによると、食品と飲料の3024品目が10月から値上げになった。
市民からは「やっぱり米が高い。子どもがいる家庭は大変だ」という声が聞かれる。
その一方で、うれしい値上がりもある。それは「金」の価格だ。2024年10月は1gあたり1万2978円だったが、2025年10月17日は1gあたり2万3254円。史上最高値を更新し、1年で約1.7倍になった。
ネックレスが驚きの高額査定
かつてない金の高騰を受け、買い取り専門店で査定を依頼する人が増えている。
買取販売店の藤本智史店長は「年明けからすごく伸び始めて、ずっと更新を続けている状況だ」と語る。
最近店が買い取った金のネックレスには20万円という想像以上の高値がついた。藤本店長は「金として見ると当時の価値の10倍以上。ネックレスの宝石とデザイン料もプラスして査定して、お客さんはものすごく喜んでいた」と話す。
金の価格上昇の背景には不安定な社会情勢がある。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大をきっかけに値が上がり始め、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など国際関係の緊迫化で勢いに拍車がかかったと見られている。
2019年の年間の平均価格は4918円。2025年の最高値はその4.7倍だ。
傷ついた金製品も処分前に査定を
取材スタッフ2人の実家で眠っていた金製品を査定してもらった。
小さいピアスであっても金であれば買い取ってもらえるが、金メッキの製品は「金」としての買い取りはできないという。
アクセサリー6点のうち18金の製品5点で、買取価格はなんと22万2400円だった。
ブローチ1点で9万6000円。「ブローチは今出番が少なくなっているアクセサリーだが、使わないから処分するのはもったいない」と藤本店長は話す。
もう1人の取材スタッフはアクセサリーと鈴の6点を持ち込んだ。6点中、4点が金メッキで買い取りできるのは2点のみ。
指輪が5万円、ペンダントトップが4万円、合計9万円の価格がついた。「指輪は2024年だと3~4万円くらいだったものでも今は5万円する」と店長は説明した。
金の製品であれば、傷がついたり壊れたり、切れたりしていても買い取ってもらうことができる。値上がりラッシュで生活の厳しさが増す中、家に眠る「金」が思いがけない収入につながるかもしれない。
藤本店長は「処分するのにもお金がかかる時代。一度処分する前に仕分けて確認した方が自分のためにもなると思う」とアドバイスしている。
「金」としての買い取りができない金メッキの製品には「18K GP」などと「GP」と刻まれている。掃除や遺品整理で出てきたアクセサリーなどは無料で査定してもらうことができるが、金の価格は株と同じで上下するものなので、タイミングを見ることが大切だ。
(テレビ長崎)
