鄙びた温泉街、迷路のような路地、静かにたたずむ木造駅舎…。
一度も来たことはないのに、なぜか懐かしく心惹かれる。
そんな、郷愁溢れる風景を求めて旅する「一人旅研究会」こと栗原悠人さん。
栗原さんが全国各地でカメラに収めた心揺さぶるシーンをお届けする。
写真・文=栗原悠人
品揃えの良い大型商業施設が広まる前は、個人経営のお店が並ぶ商店街は全国各地に多く存在した。
太平洋戦争後の大復興時代から今日に至るまで、多くの木造の商店街が形成され、壊されていった。
社会が急速な変化を遂げているにもかかわらず、開業当初の姿からほぼ変らない商店街も存在する。
思わず「おぉ」の感嘆してしまうような、ノスタルジーを感じる至高の鄙び商店街たちを紹介したい。
東日本(神奈川)
■小向マーケット(神奈川県)

通っていた小学校の学区内にあり、頭上に旧字や俗字を含んだ看板が並んでいた。残念ながら最近解体された。
西日本(三重・奈良)
■松阪市場(三重県)

松阪駅から徒歩数分。昭和時代、ここに聞こえていた人々の声は、既に聞こえなくなっていた。
■椿井市場(奈良県)

市場は100mほどの一本道で東西に伸びる。東側は現役のお店が並んでいるが、西側は閉業したお店が多い。