大きな被害が出た8月の記録的大雨。行政の対応にどんな問題があったのでしょうか。熊本市はサイレンを鳴らすのが遅れたり、排水ポンプ場が停止した問題を受け、外部の専門家などで構成する二つの委員会を設置。16日きょう初会合が開かれました。

【尾谷 いずみキャスター】
「内水氾濫が指摘され、多くの家屋の浸水や車が水没するなどした8月の記録的大雨。大西市長は、とりわけ『初動にどんな問題があったか検証してほしい』としています」

一つ目の委員会は一部の地区で防災のためのサイレンの吹鳴が遅れた問題を検証するものです。

このうち坪井地区ではこれまでに、本来鳴らすべきタイミングより大幅に遅れたことが明らかになっていて、住民からは「もう少し早く鳴っていれば車を動かすことができた」などの声が上がっていました。

委員会は学識経験者、報道関係者、それに熊本地方気象台から合わせて5人で構成され、会長に熊本県立大学の澤田 道夫 教授を選びました。

そして委員会は「関係者に話を聞く際、個人が晒されることで意見に躊躇があってはいけない」として審議は非公開で行われることになりました。

終了後、取材に応じた澤田会長によりますと今回審議対象となったのは坪井川沿いの坪井警報局など3カ所のサイレンで、熊本市側は16日「サイレン吹鳴のマニュアルがあいまいだったため職員の認識に違いが生じていて、結果、鳴らすのが遅れた」と報告。このうち坪井警報局では最大3時間20分の遅れでした。

【澤田 道夫 会長】
「事前の訓練、事前の研修で(マニュアルを)周知していく必要性が(委員会で)指摘された」

委員からは「住民も巻き込んだ訓練が必要」「参集した職員をどう配置し動かすかの体制整備が必要」などの意見が出されたということです。

澤田会長は次回委員会で市側が示す具体的な対応策を検討し11月、3回目の委員会で提言をまとめ答申する方針を示しました。

そしてもう一つ熊本市が設置したのが、坪井ポンプ場などの排水機場で本来機能するはずの下水や雨水の排水機能が停止した問題を検証する委員会です。

メンバーは学識経験者や国交省熊本河川国道事務所、熊本県土木部、それに日本下水道事業団から合わせて5人。熊本大学大学院の張 浩 教授を会長とし、こちらも審議は非公開で行われることになりました。

委員会は、坪井ポンプ場など2カ所を対象に、16日は当日の動きを時系列で確認。職員の初動については「ルールに従って行動した」と市側から報告されたものの、委員から「ポンプ場の操作ルールについて正しかったか今後検証する必要がある」などの意見が出たということです。

委員会は今後、なぜ浸水被害が発生したか、またポンプ場の機能停止が及ぼした影響などについても検証し11月、中間答申、そして来年3月末までに最終答申を示す方針としました。

テレビ熊本
テレビ熊本

熊本の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。