熊本市のアパートで、交際相手の女性に暴行を加え死亡させた罪などに問われた男の裁判員裁判です。16日の論告公判で検察は「犯行は悪質」などと指摘し、懲役8年を求刑。一方、弁護側は「犯行時、被告には責任能力はなかった」として無罪を主張しました。
求刑を受けたのは、熊本市東区長嶺南に住む 作業員、早瀬 真吾 被告(43)です。
起訴状などによりますと、早瀬被告は去年4月、同じ就労支援施設に通う交際相手の木下 春千代 さん(当時71歳)が住む東区月出のアパートで、木下さんに対し、腹を蹴ったり胸を踏みつけたりするなどの暴行を加えて死亡させ、木下さんの口座から7回にわたり、合わせて19万円余りを引き出し、盗んだ罪に問われています。
これまでの裁判で早瀬被告側は起訴内容については「争わない」としたものの、「知的障害などがあり行動を制御できず、責任能力がない」として無罪を主張していました。
16日は論告公判が開かれ、検察は「場所や相手を選んで暴力を振るっていることなどから知的障害が犯行に与えた程度は著しいとは言えない」として早瀬被告には「責任能力があった」と指摘。その上で「無抵抗な被害者に対し多数回にわたって一方的に暴行を加えていて、犯行態様は悪質」などとして懲役8年を求刑しました。
一方、弁護側は「被告には暴力行為をコントロールできず、犯行時、責任能力はなかった」として改めて無罪を主張しました。
判決は来週21日に言い渡される予定です。