富山市小杉の住宅街で16日朝、クマが住宅敷地内に潜んでいる可能性があり、富山県内で初めてとなる「緊急銃猟」が自治体判断で発令された。市や警察などが現場を調査したものの、クマの姿は確認できず、周辺地域では引き続き警戒が呼びかけられている。

住宅敷地内にクマ潜伏との情報

15日午後7時頃 富山市堀(視聴者提供)
15日午後7時頃 富山市堀(視聴者提供)
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15日夜、富山市掘で複数のクマ目撃情報があり、警察や富山市、猟友会が警戒にあたっていた。

16日午前8時頃 富山市小杉(視聴者提供)
16日午前8時頃 富山市小杉(視聴者提供)

翌16日午前8時頃には、富山市小杉を走行中の車のドライブレコーダーがクマの姿を捉えた。クマは道路を横切り、田んぼを経由して富山市小杉の住宅街方向へ移動した。

その後、午前8時10分頃、大きな木立が茂る住宅の住人から「クマが敷地内にいる」との通報が入った。

警察や猟友会はすぐさま住宅を取り囲み、敷地内の状況を確認。同時に周辺住民への警戒を呼びかけ、現場から半径200メートルの範囲に規制線が設置された。

「流れ弾が来て大変なことになったら困るので、(立ち入り)規制をかけた」と市職員は説明。警察官も「クマの目撃情報がありました。不要不急の外出は控えてください」と住民に呼びかけた。

県内初の「緊急銃猟」許可も発砲なし

通報から約2時間後の午前10時過ぎ、富山市は地域住民の安全確保など条件を満たしたとして、県内で初となる「緊急銃猟」を出した。これにより、市街地での発砲が許可され、猟友会と警察が敷地内へ入った。

警察はドローンを活用して上空からも敷地内を調査したが、クマの姿は確認できなかった。午前11時には周辺のパトロールに切り替えられ、規制線も解除された。

高校生も警戒、学校周辺で安全対策

クマ出没現場から約500メートル離れた富山南高校では、16日朝、保護者に車で送ってもらう生徒の姿が多く見られた。

「父に送ってもらった。やっぱり怖い。テレビとかで人が被害にあっているケースを見ると、自分もそういう場合にあったら怖い」と生徒は語る。保護者からも「心配はしているが、どうしていいか分からない。学校もあるし」「帰りは電車で帰らせる。たくさんの友達と一緒に帰ってねと言っている」との声が聞かれた。

多くの生徒が利用する富山地方鉄道上滝線の小杉駅近くでは、道路にクマのふんと思われるものが発見された。駅から学校までの通学路では、さす股(クマ除けの道具)を持った教員が登校を見守り、警戒を強化していた。

市は警戒を呼びかけ

富山市森林政策課の中島光輝課長は「クマはいなかった。今もどこにいるか分からない状態なので、周辺の人はクマがいるものだと思って、自分のことだと思って身を守る行動を取ってほしい」と述べた。

周辺地域ではクマがまだどこかに潜んでいる可能性があるとして、富山市や警察はクマのような動物を目撃した場合、近づかず安全な場所に避難したうえで連絡するよう呼びかけている。

富山テレビ
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