秋の読書シーズン到来。皆さんは最近、本を読んだだろうか。富山市立図書館では、図書館の裏側を見学する「バックヤードツアー」が開催され、30人の定員枠がわずか半日で埋まるほどの人気を集めている。普段は立ち入ることのできない図書館の舞台裏を覗いてみよう。

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知られざる図書館の舞台裏へ

土曜日の富山市立図書館。来館者たちが向かった先は、通常は立ち入ることのない1階の車庫。

ここには図書館の自動車文庫が2台駐車されている。これは図書館の裏側を見学する「バックヤードツアー」の一部だ。

このツアーは今年3月以来、2度目の開催となるが、総勢30人の枠がわずか半日で埋まるほどの人気イベントになっている。参加者は本がどのように管理され、貸し出されるのかを実際に見学することができる。

6階の秘密の書庫

「ここが6階の書庫です…ボタンを押すとそこだけウィーンて開く」

案内されたのは、約30万冊の本が保管されている6階の書庫。ここには昔の地図や戦時中の新聞も所蔵されている。また、「除籍の棚」と呼ばれるスペースもあった。

「スペースが限られているので買った分と同じくらいの冊数を除籍、廃棄しなくてはいけない」

図書館では新しい本を購入するのと同じくらいの冊数を除籍しなければならず、その決定は1冊ずつ検討して行われるという。

知られざるサービスと特別な設備

ツアーでは音訳サービスの部屋も紹介された。ここでは視覚障害者のために、本の内容を音声化する作業がボランティアによって行われている。

また、普段は職員しか入れない6階のベランダからは特別な景色を楽しむこともできた。参加者からは「最高ですね~」との声が上がった。

さらに、参加者が興味深く観察していたのは、床に置かれた特殊な装置だ。

「カタログで見たら5万円くらいだった。本当は製本とかに使うやつです」

ここでは、濡れてしまった本のしわを伸ばすためにも活用されているという。

参加者の声

バックヤードツアーに参加した人たちからは次のような声が聞かれた。

「面白かったです。書庫の本棚が自動で動くところを見たいと思っていたので、本物を見られてすごくよかったです」

「図書館の裏側って見えないのですごく楽しかったです。ああ、こういう風に(本が)回っているんだなってよくわかりました」

図書館の新たな役割

富山市立図書館読書推進係の主任司書、工藤崇人さんは次のように語る。

「イベントを通じて図書館に興味を持ってほしい、親しんでもらいたいという思いで始めた。最近の図書館はイベントをやったり賑わいを作ったり、文化に触れる場とか、そういう側面も持ち合わせている。だんだん変わって、暗いイメージではなくなってきた」

富山市立図書館では来年3月にも同様のバックヤードツアーを企画しているほか、今月下旬には本とボードゲームのイベントも開催予定だという。

読書マスターのおすすめ本

本の世界にもう少し踏み込んでみよう。県内の読書マスターに秋におすすめの本を聞いた。

ラジオ番組で15年以上、本の紹介コーナーを担当している田島悠紀子さん。これまでに紹介した本は約1000冊にのぼる。

読書習慣無しでも読める!

普段読書をしない人でも楽しめる本は?

「青山美智子・田中達也の『遊園地ぐるぐるめ』です。こちらは本を読むというよりも、本の中の遊園地に遊びに行く感覚で楽しめます。写真も多いので、写真を見ながら視覚的にも楽しめる。読んだ後は心が軽くなります」

田島さんお気に入り

田島さんが本当に面白いと思った本は…

「村山由佳さんの『プライズ』。どうしても直木賞が欲しい女性作家の物語。ドキドキハラハラそしてヒリヒリします。癒しよりも刺激を求める方におすすめ」

富山にちなんだ1冊

「もう一冊は、富山の人向けということで、増山実の『われらみな、星の子どもたち』という作品。能登が舞台なんだけど、高岡も出てきます。北陸の方言満載です。そして増山さんの作品は没入感がすごい。作品に入り込めるところが魅力と思います」

読書を後押しする「プレミアム付き図書券」

今月、読書を後押しする「プレミアム付き図書券」も発売された。これは県書店商業組合が発行するもので、1セット5千円で6千円分の買い物ができる。組合に加盟する県内41店舗の書店で利用可能だ。

まずは、図書館や書店にふらりと立ち寄ってみるところから始めてみてはどうだろうか。この秋、本に親しむ時間を作ってみよう。

富山テレビ
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