富山市が県内初となる新たな取り組みを開始した。インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用し、不登校の子どもたちに新たな交流の場を提供する「MAPメタバース」だ。

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従来の支援と新たな選択肢

これまで富山市では、学校に通いづらい子どもたちのために、学校内の空き教室を活用した「校内教育支援センター」を設置し、対面での支援を基本としてきた。しかし、対面でのコミュニケーションに苦手意識を持つ子どもたちもいるという現状があった。

そこで市は新たにオンラインでの支援の場として、メタバースを活用した取り組みを企画。この仮想空間では、子どもたちはアバターを通して他の子どもたちと交流することができる。

使いやすさを追求した機能

「MAPメタバース」の特徴は、コミュニケーションが苦手な子どもでも利用しやすいように工夫されている点だ。

富山市教育センターの奥野由子さんは「右側のアクションボタンを押したら肯定だとかうなづくだとか否定のボタンが出てきて、それぞれを押すことで感情を表せないお子さんたちでもこんな風に感情を表すことができます」と説明する。

感情表現が難しい子どもでも、ボタン一つで自分の気持ちを相手に伝えられる仕組みだ。

多様な支援内容

この仮想空間では子どもたち同士の交流だけでなく、教育相談員や臨床心理士への相談もできる。さらに、WEB教材を活用したプログラミング学習の機会も提供される。

利用した際の出席扱いについては、子どもの在籍校の学校長が判断することになる。

期待される効果

すでに他県で導入されているこのシステムでは、メタバース利用をきっかけに教育センターに通うようになったり、子ども同士で対面するようになったりした事例も報告されている。

奥野さんは「メタバース空間を通じて家族以外の人とのコミュニケーションが容易にとれるので、そういったところで交流を始めるところを期待している」と話す。

この支援事業は平日の午前と午後の各2時間利用可能で、不登校の子どもたちの新たな居場所として機能することが期待されている。

富山テレビ
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