皆さんもドキドキしながら受け取った記憶があるかもしれない学校の通知表。この通知表をめぐり、掛川市は小学1年生から3年生の通知表を廃止します。一体なぜなのでしょうか?

子供たちの学習成果や生活態度などを記した通知表。

保護者にとっては我が子の学校での様子を知ることができる数少ない手段です。

小学生1年生:
(親に)早く見てもらいたい

小学生4年生:
自分の成績などがわかるからもらうのを楽しみにしている

この通知表をめぐり掛川市教育委員会は9月、ある決断を下しました。

掛川市教育委員会 学校教育課・小関昌典 課長:
学期の終わりに通知表を作成し評価・評定という形で示していた部分を、来年度は本市において小学校1年から3年生までの通知表を廃止し、その代わりに3者面談という形で子供たちの学びの成果を価値づけたい

これまで社会状況の変化を踏まえて、小学校における教育の在り方について見直しを進めて来た掛川市教育委員会。

その一環として、市内にある21の小学校すべてで2026年度から3年生までの通知表を取り止めることを決めました。

保護者:
紙でもらって頑張ったことが見られるほうがうれしいと思う

保護者:
学校の中の様子があまり分からないので、通知表はあった方が本当はいいと思う

保護者:
どうなるかという不安もあるが、先生・子供・保護者との関係が良い方向にいくのであればそれもありだと思う

県内の自治体としては初めてとなる通知表の廃止。

その背景をヒモトクと…

掛川市立第一小学校。

2学期制を採用しているこの学校ではこの日、通知表の作成事務が行われていました。

掛川市立第一小学校・平野理枝子 教頭:
ひとりひとりの子供の良さをどれだけ成績に表していくか、どの教員も慎重にいろいろ情報交換をしながらやっている

ただ、授業の準備や普段の事務作業に加えて行う通知表の作成は教師にとって負担となっているのも事実で、さらに年度末には1年間の学習成果を児童ごとにまとめ、次の担任に引き継がなければなりません。

そこで、掛川市の小学校が通知表の代わりに活用するのが4年前から導入している学習支援アプリです。

掛川市教育委員会・佐藤嘉晃 教育長:
私は理科の教員だったが、物理は得意だけれど地学が苦手という子供がいる。1学期間で物理は5だが地学は2の時に評価・評定はどうなるか。真ん中の3をとることになる。だが、AIカルテは細かく子供たちに「ここができている」としっかり伝えられる

アプリには子供たちが解いたドリルやテストなど様々な学習データが蓄積されていて、何が得意で何が苦手なのか教科や単元ごとにAIが分析し、データやグラフとして示してくれます。

掛川市教育委員会・佐藤嘉晃 教育長:
子供や保護者はそれ(AIカルテ)を見て「ここが得意だからもっと伸ばそう」という話になるので、私たちはDXを活用して子供の良さや可能性をもっと伸ばす方向に切り替えていく

掛川市ではこうしたAIによる分析をもとに児童や保護者との3者面談を通して、子供たちの苦手克服や学習意欲の向上につなげていきたい考えです。

保護者:
仕事でもAIは使うし、客観的なデータとして見せてもらった方が親としては「今後こうしようか」といろいろ考えられる

保護者:
(通知表の)項目がよくわからないところがあったので、面談でしっかり話を聞けるのはわかりやすくなって良いと思う

掛川市立第一小学校・菅沼一浩 校長:
この5年で、全国各地の小学校でも(通知表を)無くしている学校も出てきているので私も情報を集めていた。いよいよ掛川市もその方向に踏み切る。対話をもとにし、コミュニケーションを深くしていく。子供たちのパフォーマンスをより事細かに保護者や子供本人に返していく。そういうことになるのではと思う

DXを活用した掛川市の教育改革。

この取り組みがどのような成果をもたらすのか、他の自治体からも注目されています。

テレビ静岡
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