子どもたちの運動機能が低下する「こどもロコモ」が増えているという。ロコモティブシンドロームとは本来、高齢者や中高年の運動器障害を指す言葉だが、最近では子どもたちにも同様の症状が見られるようになった。

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足の裏を床につけてしゃがめない子どもたち

ロコモとはロコモティブシンドロームの略称で、筋肉や骨、関節など運動器に障害が起き、立ったり歩いたりする基本的な動作に異常をきたす状態を指す。従来は高齢者や中高年向けの健康課題として注目されてきたが、現在では子どもにも広がっている。

富山市のショッピングセンターで開催された西能病院などを運営する五省会主催のロコモ予防イベントでは、昨年から子ども向けのコーナーが設置された。子どもたちは片足立ちや腕を上げる角度などのロコモチェックに挑戦。参加した子どもからは「片足立ちが結構難しかった」という声が聞かれた。

こどもロコモの原因

西能クリニックの理学療法士・永井皓大さんは増加の理由について「コロナ禍で外出機会が減少したことや、スマホの普及によるスクリーンタイム増加が姿勢悪化を招き、肩甲骨の動きやお腹の力が弱くなっている」と指摘する。これにより将来的にロコモになるリスクが高まると懸念されている。

簡単にできるセルフチェック5項目

「こどもロコモ」のセルフチェックには以下の5つの項目がある。1つでも当てはまれば可能性があるという。

  • ・両手を広げて片足で5秒以上ふらつかずに立てるか

  • ・足の裏を床につけ、後ろに倒れずにしゃがめるか

  • ・両手をまっすぐ上に、耳の横につくように垂直に上げられるか

  • ・膝を伸ばしたまま、楽に指が床に着くか

  • ・グーを作りながら肘を引き、パーにしながら腕を前に出す動きがスムーズにできるか

「全国ストップ・ザ・ロコモ協議会」の調査によると、中学生143人を対象にした調査では、約半数の生徒が1項目以上当てはまったという結果が出ている。

運動不足だけが原因ではない

注目すべきは、運動不足だけがこどもロコモの原因ではない点だ。立山町のパーソナルジムFUJIREXでは、クラブチームで野球に打ち込む中学生もトレーニングに訪れている。

独立リーグ富山GRNサンダーバーズの元ピッチャーで現トレーナーの藤岡直也さんは「悪い姿勢の状態でスポーツやトレーニングをすると、いいことをやっていても逆にケガをしてしまう」と警告する。

また、現代の子どもたちは地べたではなくソファや椅子に座る機会が多く、膝の曲げ伸ばしだけで生活するため、いつの間にか股関節が固くなる傾向もあるという。

家庭でできるロコモ予防体操

専門家が勧める家庭でできるロコモ体操は次の通りだ。

1. 両手をまっすぐ上げて肩甲骨を押し出し、つま先立ちで伸びる

2. 上半身を前に倒し、両腕を左右交互にぶらぶらと下げる(肩甲骨から動かすのが重要)

3. 息を吸いながら肩甲骨を閉じ、吐く時に開く

この動作を5回繰り返す。

生活スタイルの変化によって全身を使う運動機会が減少している現代。スマホやゲーム、テレビの時間を減らし、栄養バランスの取れた食事と合わせて、家族でロコモ予防に取り組んでみてはどうだろうか。

富山テレビ
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