生活に社会に溶け込んできたドローン。
そのドローンで子どもから大人まで「世界」と戦える「スポーツ」があるんです。
その名は、空飛ぶサッカー「ドローンサッカー」!
先月、韓国で初のワールドカップが開かれ、広島のチームが世界に挑みました。
「ドローンサッカー世界への道プロジェクト:ワールドカップ編」です!
【西田杏優アナウンサー】
「ドローンサッカー発祥の地韓国チョンジュにやってきました。歴史ある風情ある町並みが広がっています。これから熱い戦いが始まります」
首都ソウルからおよそ230キロ、韓国・南西部に位置するチョンジュ。
「ドローンサッカー」はこの町から、わずか10年足らずで世界に広がりました。
【西田アナ】
「試合会場です。第1回ワールドカップとあって盛り上がっています。早速行ってみましょう」
「ハロー!」
「スペインと中国の対戦です。中国が入れましたよ。すごいスピードが速すぎてここまで風が来るんですよ」
ルールは、いたってシンプル!5人1組で2チームが向き合い球体のドローンが相手側のリングに通れば得点です。
ただ、この攻守の駆け引きが難しいんです。
【西田アナ】
「ぶつかりあっているスピードも速いのでより迫力を感じます。ここまで様々な国の人がいるとは思わなかったです」
サッカーW杯の開催地だったスタジアム一帯はまさにワールドカップの名に相応しいスケール感!
【フランスから】「手拍子」
【アメリカから】「レッツゴー!USA!USA!」
【韓国から】「ファイティン!」
世界一を目指し子どもから大人まで、世界32の国と地域からおよそ2500人の選手団がチョンジュに集結しました。
【ジャマイカから】
「ドローンサッカーの魅力は自由に飛行できるところでもあるけど、年齢、性別、国籍に関係なく一緒にプレーし、戦いあえるところだよ」
私がメンバーの一員として戦う「広島ワークスチーム」は、高校生3人と社会人2人でつくる混成チームです。
ドローンの大きさにより「クラス」が分かれていて、国内大会で実績を積み小さいクラスで広島代表として出場できることになりました。
【西田アナ】
「何もしていないけどこっちに寄ってくるのは風?」
「いま機体チェックが終わったんですけど緊張感が高まってきます」
チームを引っ張るのが攻撃担当の2人です。
【攻撃担当修道高校2年・藤川和樹さん】
「緊張はあまりないですね」
Q:世界の選手見てもびっくりしない?
「はい。強いチームには戦い慣れていますから」
高校2年生の藤川和樹さんはいたって冷静でした。
【藤川さん】
「自分が崩して青山さんが入れる感じで…西田さんはできる限り相手にあたるというのをチャレンジしてもらいたいです」
さあ、連携を発揮できるか?
初戦は本場韓国のチームと対戦です。
《試合開始》
開始早々、赤の広島ワークスチームが青の韓国のディフェンスをかいくぐり、連続得点。
私たちディフェンス陣も打ち合わせ通り韓国の機体の前に立ちふさがり、リングの前でプレッシャーをかけます。
結果は20対8。
見事!ワールドカップで記念すべき、1勝をあげることができました。
【藤川さん】
「だてに練習を積んできたわけではないので」
【攻撃担当ソルコムマイスタ・青山長さん】「勝ててよかったです」
【守備担当修道高校2年・光井大翔さん】「最初はうまくいかなくてもっと抑えられたかなと思います」
【西田アナ】
「やりましたね。私もびっくりしています。意外と私たちは練習を積んでいたんだなと」
次はグループ予選突破がかかる一戦です。
相手はトルコ。
2試合目も赤の広島ワークスチームがディフェンスをかいくぐり、順調に得点を重ねます。
ところが…
【藤川さん】
「すまん!誰か救助頼む!」
リードして迎えた終盤、攻撃藤川さんの機体がトルコの機体と接触し落下。
身動きがとれなくなってしまいました。
【光井さん】
「救助!救助!救助」
すぐさま、味方どうしで逆さになった機体を戻し攻撃に復帰!
全員の助け合いでリードを守り、広島ワークスチームが予選突破を果たしました。
【藤川さん】
「一緒に助けに来てくれてその結果もう1回(攻撃を)やることができた」
【守備担当修道高校2年・中畑公さん】
「(藤川さんの機体に)うまく当てられてよかった」
【トルコチームは】
「素晴らしかったと思います。今、本当に面白い。私たちは楽しいです」
第1回のワールドカップにふさわしい圧巻の「もてなし」も待っていました。
数えきれないほどのドローンが夜空を彩りました。
【西田アナ】
「キラキラって頑張ってよかったという気持ちです」
いざ、世界の強豪ひしめくトーナメント戦へ!会場の緊張感が一段と高まります。
【青山さん】
「勝ち上がってきたチームが集まるので強いのは間違いないと思うので全力を出し切って頑張っていきたいと思います」
《円陣》「勝ち切っていくぞ!おおおお!」
【西田アナ】
「負けたら終わりなんですよ、必死です。みんな」
対戦相手は…
【シンガポールのチーム】
「シンガポール」
「日本のチームと対戦できるのを楽しみにしています」
実力が未知数のシンガポールのチームです。
《試合開始》
最初こそ一進一退の攻防を繰り広げますが、中盤以降、シンガポールに決定力の違いを見せつけられます。
そして…シンガポールの攻撃を食い止めようとアタックした私、西田の機体が落下。
【西田アナ】
「私の機体が相手の機体にぶつかって向こうのチームのほうに行っちゃったんで」
全力は出し切りましたが、そのまま点差を縮めることができず惜しくも勝ち進むことはできませんでした。
【西田アナ】
「お疲れ様でした」
【光井さん】
「実力の差を感じました」
【中畑さん】
「悔しいです」
それでも、世界の舞台で堂々と戦い抜き、ドローンサッカーの魅力と可能性に気づけたワールドカップでした。
【青山さん】
「誰でもできるというのはもちろんありますし、そこから戦略と技術もあってゲーム感覚でできるスポーツというのは楽しいものだなと思います」
【藤川さん】
「みんなで戦うことの喜びを感じました。世界まで色んな人とかかわってみて人間と人間のつながりが感じられて楽しかった。周りの人が温かいんですよ。国境がないというかどこの国の人もフレンドリーに優しく接してくれてスポーツって人をつなげるんだなと感動しました」
ちなみに、世界一を決める決勝の特設ステージは熱狂に包まれ盛り上がりは最高潮に達しました。
国境を越え、世界の人たちの心を揺さぶるドローンサッカー。
新しい技術に、国際交流も融合した歴史的な大会でした。