静岡県伊東市の田久保眞紀 市長が議会を解散したことに伴い、10月12日に告示される市議会議員選挙。結果次第では田久保市長の失職にもつながる中、31人が立候補を予定する混戦模様となっています。

告発文:
東洋大学卒ってなんだ!彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している

田久保市長の就任から間もない6月初旬。

すべては1通の告発文から始まりました。

これを受け、正副議長(当時)に“卒業証書”とされる資料を見せた田久保市長。

ただ、議会側の疑念は晴れません。

伊東市議会・杉本一彦 議員(6月25日)※肩書きは当時:
あなたの言葉で言ってほしい。あなたの言葉で聞きたい。東洋大学法学部、平成4年3月に卒業していますね?

伊東市・田久保眞紀 市長(6月25日):
この件に関してはすべて代理人弁護士に任せているので、あとのことは弁護人から公式に発言のない限りは私からの個人的な発言は控えさせてもらう

当初は告発文を怪文書と切り捨て、まともに取り合わなかった田久保市長ですが、議会側が百条委員会を設置する方針を固めると発言に変化が見られるようになります。

伊東市・田久保眞紀 市長(6月26日):
前に(正副議長)に見せた卒業アルバムや証書などそういった形になるが、とりあえず手元にあるものはそういう風に(公開)していこうかなと思う

しかし、迎えた7月2日の会見に約束したはずの“疑惑”の卒業証書は持参せず。

それでも、“本物”という姿勢を崩しませんでした。

伊東市・田久保眞紀 市長(7月2日):
一度卒業という扱いになって、なぜ除籍になっているのかはきちんと事実関係に基づいて確認していかない(いけない)

福島正洋 弁護士(7月2日):
あれが普通に考えて偽物とは思わない

その後も…。

伊東市・田久保眞紀 市長(7月7日):
私は本物だと思って、必要だと思う人に見せている

伊東市・田久保眞紀 市長(7月7日):
私の目から見てあれが偽物とは思っていない

伊東市・田久保眞紀 市長(7月18日):
(Q.偽物ではないかという疑惑も?)いえ!

こうした中、東洋大学は8月6日にホームページを更新。

東洋大学:
本学学則では、卒業した者に、卒業証書を交付することとしており、卒業していない者に対して卒業証書を発行することはありません

公式声明を発表しましたが、田久保市長は…

伊東市・田久保眞紀 市長(8月14日):
卒業できていない人間に卒業証書を渡さないのは当然なので、そこはきちんと確認するべき

大学側に責任を転嫁するかのような発言に終始。

一貫して強気な態度を通しましたが、百条委員会は調査の結果、田久保市長の発言や認識は虚偽であると認定しました。

伊東市議会百条委員会・井戸清司 委員長(9月1日)※肩書きは当時:
東洋大学から提出された記録により、市長が保有する卒業証書とされる書類は正規に発行されたものではないことが明確となった。東洋大学から提出された追加の記録の存在があるが、これをつぶさに確認することで、市長が大学を卒業したものと勘違いしていたとする主張自体がおよそ成立することはあり得ないことであると判定づけることができた

田久保市長の発言の矛盾は他にも…。

伊東市・田久保眞紀 市長(5月18日):
本当に42億円の図書館をあそこ1カ所に建てることに使って毎年2億円以上の維持費、これをみなさんが負担していく。これで本当にいいのか?それはみなさんの意思ですか?

市長選では新図書館の建設反対を掲げ、ハコモノ行政からの脱却を訴えていましたが…

伊東市・田久保眞紀 市長(7月2日):
温泉カフェという形で温浴施設を造りながら、そこに図書館を併設するといったことを自治体と一緒になってやっている事業体があった。非常に伊東には良いのではないかと思い、伊東でできないかどうか実現の方向性を探っている

すでに別の図書館構想の実現に向けて自らが先頭に立ち、動き出していることを匂わせました。

伊東市・田久保眞紀 市長(8月15日):
ハコモノというのはあくまでもすべての建物を否定するものではない。建てても活用されなかったり、建てたのに費用対効果が見合わないものをハコモノと呼んでいるだけで、すべての建物を否定する公共施設そのものを否定することではない

一方で元々の新図書館計画については…

伊東市・田久保眞紀 市長(7月31日):
現在メガソーラー計画も新図書館建設計画も水面下で激しく動いている

何か大きな陰謀が渦巻いているかのごとく発言。

伊東市ホームページ:
田久保市長就任の翌日である5月30日に入札を中止し、現状は白紙の状態となっております

伊東市がホームページ上で田久保市長の発言を否定する異常事態となっています。

また、図書館計画と共に問題視したメガソーラーの建設計画についても…

静岡市・難波喬司 市長(8月5日):
市長がいなければメガソーラーは止まらないということはない

静岡市・難波喬司 市長(8月21日):
許可を出すという行為そのものが事業推進にはならない。それは行政の義務

県の元副知事で、この問題が発覚した当時対応に当たった静岡市の難波喬司 市長が、2度にわたって田久保市長の発言を暗に否定。

伊東市も火消しに追われました。

伊東市ホームページ:
事業者は開発に必要なすべての許可を取得している状況ではないため、現状、工事の進捗は見られません。また、近年、事業者からの連絡もございません

さらに田久保市長の就任以来、空席が続く教育長の人事についても…

伊東市・田久保眞紀 市長(9月10日):
現場の意向も大切なので現場との調整を図りながら(市議会定例会)最終日には教育長の人事が上がるように私の方では進めていた

伊東市・西川豪紀 教育部長(9月10日):
現状では特段、誰に教育長に就いてもらえるかまったく決まっていない状況。(Q.人事案を出すところまで進んでいない?)その通り

このように、様々な問題が表面化する中、市議全員から不信任を突き付けられた田久保市長が選択したのは議会の解散でした。

伊東市・田久保眞紀 市長(9月10日):
伊東市が改革の道を進み、そして刷新されていく。つまりは衰退の道から再生の道へ至る過程において、いまの在り方で良いのか、改めて市民に信を問いたい

今回の市議選には、現在のところ定数20に対して31人が立候補を予定。

事前のアンケートでは再び田久保市長に対する不信任案が提出された場合、前職18人と新人8人の計26人が賛成する意思を示し、新人1人が反対票を投じる考えを明らかにしています。

また、新人3人は明言を避けましたが、このうち1人は未定としていて、残る新人1人は出馬の意思を示したのが直前だったため、まだアンケートに応じていません。

混迷が続く伊東市の今後を大きく左右する市議選は10月12日に告示され、19日に投開票が行われます。

テレビ静岡
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