全国の出生児の約1割が2500グラム未満で生まれる「低出生体重児」だ。富山市に住む笠松家では、今年4月に予定日より20日早く、体重1861グラムで生まれた蘭ちゃんがいま4ヶ月を迎え、すくすくと成長している。

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小さな命の不安と希望

「いま、4ヶ月です」と母・佳織さんは笑顔で話す。現在の体重は4600グラム。妊娠35週2日、胎児の体重が1787グラムと小さいことがわかり、低出生体重児に対応できる病院への転院を勧められた時は不安が募った。

「赤ちゃん小さいで検索すると、障害のこととかいいことがあまり書いてないから余計に不安になって」と佳織さんは当時を振り返る。しかし、帝王切開で蘭ちゃんを出産した瞬間、「生まれた瞬間に泣いて、安心」したという。

医療現場のサポート体制

富山県立中央病院新生児科の嶋尾綾子医師は蘭ちゃんの誕生からサポートを続けている。生まれてすぐ、蘭ちゃんは同病院のNICU(新生児集中治療室)で約1ヶ月を過ごした。NICUでは24時間体制で低出生体重児や治療が必要な赤ちゃんのケアが行われている。

嶋尾医師は「小さく生まれても1歳〜3歳までの間にサイズが追いついてくることが多い」と説明する。月に一度の診察では、蘭ちゃんの首の座りを確認するなど、発達のフォローアップが行われている。

病院のNICUには体重に合わせた5種類のおむつが用意されており、中には体重500グラムほどの赤ちゃん用のものもあった。低出生体重児は生後、医療的ケアが必要となる場合が多く、発育・発達の遅れなどのリスクがあるとされている。

家族の絆と成長の喜び

兄の暖くんは、妹が自宅に帰ってきたときの気持ちを「うれしかった」と話す。父親の聖さんは「小さく生まれてきた最初の不安があったからこそ、ちょっとのことでも成長してるなと感じる」と喜びを語る。

佳織さんは「すごい笑うようになって」と蘭ちゃんの成長を嬉しそうに話す一方で、「小さいねーと言われるけど、最初は傷ついたりした」と率直な気持ちも明かす。

そんな佳織さんに嶋尾医師は「小さく生まれた赤ちゃんを見られるのは小さく産んだ人の特権。きっと小さい時にお父さんとお母さんに会いたくて生まれてきたんだね」と伝えているという。

社会的サポートの重要性

低出生体重児とその家族は、ライフステージごとに様々な不安を抱えることがある。育休を長く取れる環境や、悩みを共有できるコミュニティなど、赤ちゃんとその家族が過ごしやすい社会であることが望まれる。

小さく生まれても、大きな可能性を秘めた命。その成長を支える医療と家族の愛、そして社会のサポートが一つになることで、子どもたちの未来はより輝くものになるのではないか。

富山テレビ
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