「マイナ救急」とは、救急車で出動した救急隊員がマイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」を活用し、傷病者の通院歴などの医療情報を確認することで迅速で適切な搬送や治療に役立てる仕組みです。
実際にどのように利用するのか盛岡消防本部(岩手県)で取材してきました。
10月1日から全国一斉にスタートした「マイナ救急」は、岩手県内に12ある消防本部でも運用が始まっています。
今回は盛岡消防本部の協力で実演してもらいました。
救急隊員
「マイナ保険証はお持ちですか。お借りして読み取りしてもよろしいでしょうか」
救急車の中に設置された専用の読み取り機にマイナ保険証をかざすと、通院歴や服用している薬などの医療情報がタブレットに表示されます。
これまでは救急隊が傷病者から口頭で情報を聞き取っていましたが、10月からはマイナ保険証を読み取ることで迅速で適切な搬送や治療につなげられると期待されています。
医療情報の確認は原則として患者本人の同意が必要です。
しかし意識不明など会話が難しい場合には患者の家族などの判断で行うことができます。
盛岡消防本部警防課 高橋潤哉救急係長
「急な病気や事故で慌てて説明できなくても必要な情報を把握することができる。すでに現場では治療判断がスムーズに実施できたと医療機関から評価をいただき導入の効果は表れている」
改めてメリットをまとめました。大きくは次の3つです。
▽病歴や飲んでいる薬など医療情報を伝えることができる。
▽搬送先の病院を選定したり応急処置が円滑に実施できる。
▽搬送先の病院での治療の事前準備ができる。
そして運用については、「本人確認」の方法は、緊急時ということもあり暗証番号の入力は不要です。救急隊員が顔と写真を確認し本人確認を行います。
マイナ救急に使用するシステムで救急隊員が閲覧できる個人情報は、▽住所、氏名、生年月日▽受診した病院名▽過去や現在の病気▽薬の情報といった医療情報だけです。税金や年金などの情報は閲覧できないようになっています。
マイナ救急が始まってから7日が経ちましたが、盛岡消防本部では活用できたケースは2割ほどにとどまっています。
理由は外出先でマイナ保険証を携帯していなかったり、マイナンバーカードをマイナ保険証として登録していなかったりするケースが多いということです。
こうしたことから消防では事前に確認を行い、いざという時に備えてほしいと話します。
盛岡消防本部警防課 高橋潤哉救急係長
「救急現場では一分一秒が命に直結する。早期搬送・早期治療を行うためにもマイナンバーカードへの保険証の登録、マイナ保険証の携帯をお願いします」
消防では通報を受けた際にマイナ保険証の有無を確認していて、スムーズな救急搬送につなげていきたいとしています。
マイナンバーカードに保険証を登録する方法を確認します。方法は3つあります。
▽医療機関や薬局にあるカードリーダーから行う方法。
▽スマホやパソコンからオンライン窓口である「マイナポータル」にアクセスして行う方法。
▽セブン銀行のATMで登録する方法
マイナ保険証は登録した当日から利用できます。