積極財政などを訴えている高市早苗氏が自民党の新総裁に選ばれたことを受け、日経平均株価は史上最高を更新しています。この株価の上昇はいつまで続くのか、そして県民はどう受け止めているのか取材しました。
日経平均株価の終値は6日、4万7944円と史上最高を更新しました。株価は7日も上昇し、取引時間中には一時4万8527円と最高値を記録。
今回の株価の上昇について三津井証券・折尾営業本部長は「高市さんの政策的には財政拡張や金融緩和を推進することから、株式としては非常に追い風。それに反応して上昇した」と分析します。
今回の株高は単なる“ご祝儀相場”ではないと折尾営業本部長はみています「大きな流れは変わらない。目先的には短期的に上昇しすぎのところがあるので、乱高下しながらも株高基調は当面続くと思う」
この株価の上昇が県民の暮らしにどんな変化をもたらすのかについては「株式をしていない人は不利益はない。ただ、インフレになってくると資産運用をしている人は資産が非常に大きくなることが想定されるので、何もしていない人との格差が広がっていく、そういう時代に入ってきている可能性がある」
株価の上昇についてどう感じるのか。街で県民に聞きました。
「今の状態が1年2年続けば、日本も力を取り戻すのではないか」
「まだ一時的なものと思っているので、様子見と思っている」
「株をやっている人は喜んでいるかもしれないが、やっていない人にとっては…」
「それぞれの会社が影響を受けて給料が上がろとなったら変わってくるのかなと思うが、自分たちの生活に直接関わって変わってくるまでには時間がかかると思う」
「自分たちの業種では特に株が上がったからどうかというところはまだない。最終的には皆の給料が上がっていかないことには潤わないのかなと思う」
日経平均株価が史上最高値となる一方で、県民からは恩恵を実感できないという声も。それはなぜなのか、仁愛大学で経済学を担当している南保勝特任教授に話を聞きました。
南保教授は、賃金が上がらないことを一番の理由に挙げます。「株価が上がるのは企業の将来への期待値。賃金が上がるのは、実際に現場で売上が伸びて利益が伸びてから。その見返りとして賃金があがるわけだから、かなりタイムラグが出てしまう」
また南保教授は、株価が直接、影響するのは大企業で、ほとんどを中小企業が占める福井などの地方は恩恵を感じにくいと指摘します。
また、現在の株式市場は海外投資家が多く、国内企業の業績を反映した値とは言えないことも理由の1つといいます。
ただ、30年余り前のバブル経済と言われた時代は、株価も賃金も上昇していたはず。日経平均株価がバブル期を超え史上最高値を更新したいま、なぜ、賃上げは難しいのでしょうか。
南保教授は「そもそも国内の経済が成長していない」と指摘、「バブル期は、成長率(GDP)が5~6%あたり伸びた。今の日本の状況は、そんなに成長していない。成長していないということは、私たちにフィードバックしないということで、それが一番の大きな原因」としています。
また南保教授は、今後、日本の経済が成長するためには、多くの企業がコストカットを目的に経営を効率化するのでなく、生産を拡大するために設備や人に積極的に投資すべきだと訴えます。「そうしなければ私たちの生活が良くなる実感は見えてこない」と締めくくりました。