2000年10月6日に発生した鳥取県西部地震で、大きな被害に遭った日野町では、災害から25年が経った今も住民による地道な防災活動が続いています。
一方で、25年という長い年月は、防災意識の「薄まり」という深刻な問題を引き起こそうとしています。

10月5日、日野町で行われた避難訓練。
日野町は鳥取県西部地震で震度6強を観測。
町内の住宅すべてにあたる約1500戸が被災するなど、大きな被害に遭ったことを受け、町は毎年、震災の日に合わせて町内全域が対象の一斉避難訓練を実施しています。
町内でも特に防災意識が高いのがここ黒坂地区です。

避難する人たちの頭にはヘルメット。
背中には非常持ち出し袋。
さらに、隣の家同士が声を掛け合って避難所まで一緒に移動します。
訓練に臨む住民たちの本気度が伺えます。

防災訓練参加者:
黒坂地区が一番被害がひどかったからみんなが防災意識を持って取り組んでいる。

加えて、避難訓練のあとには自治会ごとに分かれて防災について学ぶ機会を設けています。
役場と消防と連携し、ドローンによる行方不明者の捜索訓練する自治会や、日本赤十字社協力のもと、AEDの使い方を学ぶ講習会、炊き出しの手順を確認する自治会もありました。

これらはすべて、それぞれの自治会が自主的に考えた訓練内容です。
これほどまでの防災意識の高さは一朝一夕に培われたものではありません。

黒坂自主防災委員会・和田佳洋会長:
黒坂が一番訓練にみんなが協力してくれる。
地道な活動がここまでつながっていると思う。

黒坂地区では地震で孤立した経験から全住民が構成員となって、自主防災委員会を作り、これまで地元のこどもたちに当時の様子を伝えたり、地区独自の防災広報誌を毎年発行したりするなど取り組みを続けてきました。

地道な活動で形成された防災に強い地域コミュニティ。
しかし、その一方で…。

黒坂自主防災委員会・和田佳洋会長:
地震から25年、言えば短いけど経験したら長いです。
地震を経験していない人がだんだん増えてきてね。

25年という時の流れは確実に記憶の風化を呼び込みます。
活動を続けてきた自主防災委員会の主要メンバーはほとんどが80代。
これまで築いてきた防災意識の継承に課題を感じています。

黒坂自主防災委員会・和田佳洋会長:
役員が高齢化して固定してしまったので今のところは良い話がないんですけどこれを今で辞めるのではなく続けていきたいのは山々です。

災害から四半世紀、「防災のバトン」をどのように次の世代に渡すのか。
住民は大きな課題に直面しています。

TSKさんいん中央テレビ
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