遭遇・襲われたときにできること

不運にも遭遇してしまった際にまず大切なのは、「落ち着くこと」だ。

多くの場合、人間の存在を感知すれば、基本的にはクマの方から回避行動をとるが、こちらに気づかずにいる場合は、物音を立てるなどして存在を知らせながら静かに後退するのが望ましい。大声を出したり走り出すなど急な動きはクマを刺激し、予期せぬ行動を誘発する危険がある。

ときにクマは「ブラフチャージ」と呼ばれる威嚇突進を見せる。目の前まで迫っても急に方向を変えてそのまま立ち去るというものだ。突進されたらパニックになりそうだが、その際も決して慌てず、距離をとり続ければやがて立ち去る場合もある。

母グマ1頭で子グマを2頭以上連れていることもある(イメージ)
母グマ1頭で子グマを2頭以上連れていることもある(イメージ)

また、子グマを見かけたら、かわいいからといって不用意に近づかないこと。すぐ近くに母グマがいる可能性が高く、子を守ろうと攻撃的行動をとることが多い。安全な距離を保ち、静かに速やかにその場を離れることが重要だ。

万が一向かってくる状況となれば、両手で太い血管のある首をおさえて、地面に伏せて防御姿勢をとることが第一だ。クマは顔面や頭部を攻撃してくることが多いため、防御姿勢をとることで致命的ダメージを最小限にとどめながらしのぐしかない。

唐辛子成分であるカプサイシンを発射する「クマ撃退スプレー」を携行している場合は、クマに向かって噴射することで攻撃を回避できることもある。ただしいざという時すぐに取り出せなければ意味がなく、事前に練習用スプレーで使用感を確かめておくことをおすすめする。

出会ってからどうなるかは“クマ次第”

先述の通り、机上の安全対策は数多く語られているが、残念ながら“確実に”攻撃を回避する対処法は存在しない。