東京で開催されたとある経済フォーラム。登壇した「NOT A HOTEL」の濱渦伸次社長は、周囲からの『宮崎で出来っこないだろう』という声をエネルギーに変え、宮崎のビーチリゾート・青島から全国へ事業を拡大。創業5年で契約高約530億円を達成した。逆境を原動力に、地方創生の新たな可能性を示している。

首都圏で初開催、宮崎市経済フォーラム

宮崎市は、人やもの、経済を動かすきっかけとすることを目的に、首都圏で初となる宮崎市経済フォーラムを開いた。

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フォーラムでは清山知憲市長が、中心市街地である高千穂通や、ビーチリゾートである青島周辺など変わりゆく宮崎市の様子を伝えた後、宮崎県出身で「NOT A HOTEL」の代表取締役社長である濱渦伸次氏が登壇した。

 CGパースだけで1日15億円売れた

濱渦氏は、周囲からの「宮崎で出来っこないだろう」という声をエネルギーに変えたという。壇上では、その思いを語った。

「NOT A HOTEL」は、世界的な建築家やクリエイターが手掛ける「シェア別荘」で、その始まりは宮崎市青島だった。

濱渦氏は当初、青島にホテルを建設する予定だったが、当時はコロナ禍の影響もあり金融機関からの融資を得られなかった。

そこで、建物の完成前にCGパースを制作し、オンラインで販売するというモデルを思いついたという。

NOT A HOTEL 濱渦伸次社長:
1棟8億円、宮崎でも6億円の別荘を建てて、というかCGを作って、CGを見て「8億円 買ってください」「今すぐ購入申し込み」というボタンをつけた。「こんなの売れるわけない」と、宮崎の人ほどいわれた。それが1日で15億円売れたところから、「NOT A HOTEL」は始まっている。

 創業5年で累計契約高は約530億円へ

こうして宮崎市青島から始まった「NOT A HOTEL」は、その後、福岡や栃木県那須など8カ所で開業し、すべて完売しているという。

創業5年での累計契約高は約530億円に上り、2025年度の売上は300億円を計画している。

スタートの地であった青島は現在も進化を続けており、2期工事が進行中だ。完成は2026年の夏を予定している。

「ダメ」「無理」と言われ 逆に燃えた

濱渦氏は、逆境が原動力になったと語る。

NOT A HOTEL 濱渦伸次社長:
「不動産経験ないのにうまくいくはずない」「宮崎なんて」という言い方をいっぱいされた。「なんで沖縄じゃないの」「なぜそんな微妙な場所選ぶの」といわれて。「ダメ」「無理」と言われたら燃えるタイプなので、その結果最初に宮崎でやってよかった。

かつての青島は、廃業したホテルが長く放置されていた場所だった。2016年、宮崎市の再開発プロジェクトに濱渦氏が応募し、2022年に「NOT A HOTEL」が開業。

宮崎県地価調査によると、宮崎市青島は2023年以降、3年連続で住宅地・商業地ともに地価が上昇している。

濱渦氏は地価について「(北海道)ニセコのように20%30%(地価が)毎年上がると住みにくくなったりするが、価値が下がり続けるのは株価が下がり続けてもいいといっているのと同じなので、毎年少しずつ住みにくくならないような成長は必要だと思う」との見解を示した。

地方の可能性、新たな挑戦を促す

フォーラムの最後に清山市長は、宮崎の利点をPRし、経済効果への期待を述べた。       

宮崎市 清山知憲市長:
ほかの地域と比べて、まだまだ土地があるとか、色々な利点がある。そういうところを改めてPRして「企業誘致」「進出しようか」「宮崎に帰ろうか」いろんな視点で経済に効果が生まれてくればいい。

清山市長は「地方にもチャンスがあること」「濱渦さんのように宮崎への思いをもってチャレンジしている人がいること」を伝え、首都圏で活躍している宮崎出身者たちに新たな挑戦を促したい、と思いを話した。

(テレビ宮崎)

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