自民党総裁選の取材にあたる大阪府庁キャップの加藤さゆり記者が、今回の総裁選における“大阪票”の動向について解説します。
(Q.2日の演説会会場の雰囲気、熱気は?)
【加藤さゆり記者】「公務でお2人の方が今回欠席されるということがありましたので、それを聞いて、『行かないでおこうかな』と話す方もいた。もしかしたら、空席が目立つのかなと思ったんですが、意外と満席でした。言葉のたびに拍手が起きたりとか、結構、熱気に包まれていました」
■小泉氏は「議員には人気が低い」
大阪の動向を取材する中で感じたことして、小泉農水相は「大阪の議員には人気が低い」と話します。
【加藤さゆり記者】
「小泉さんは、実は議員たちには人気が低い。背景には維新との関係があります。実はこの選挙期間中に、日本維新の会との連立について、小泉さんは『選択肢としてあり得る』と発言しました」
この発言の背景には、このようなやり取りがありました。
ことし8月、日本維新の会の吉村代表と万博会場を一緒に視察した際に、お互いの印象について聞かれ…。
(日本維新の会・吉村代表について)
【小泉進次郎農水相】「強い意志の持ち主で、改革の魂を持った政治家だというふうに、私としても敬意をもって、いつも取り組みを見ています」
(小泉進次郎農水相について)
【日本維新の会・吉村洋文代表】「本当に必要だと思うことを実行する改革を進めていく、そういった稀有な政治家の1人であられるというふうに思っています。個人的にも仲いいので、信頼しています」
■維新の会「小泉さんでは困る」
【加藤さゆり記者】
「もともとお2人は、親和性が高いところもあったので、『仲がいいよね』という話はあったんですけれども、ことし8月の万博では、吉村代表がつきっきりでアテンドをして万博会場を見て回っていらっしゃったんです。
その辺りぐらいから、2人の『蜜月ぶりを隠さなくなったな』という印象がありましたし、同時に維新の連立入りみたいなところも、取りざたされるようになってきたんです。
そうなると問題になってくるのが、選挙です。
大阪には19選挙区ありますが、前回の衆院選で自民と維新が直接対決となった場所が15選挙区ありました。そのうち全てで、自民が全敗して、維新が全て議席を取りました。
候補者からすると“敵”ですよね。維新からしたら自分を落としてきた敵ですから、もちろん拒絶反応が強いですし、今後もしこの2つの党が連立を組むことになると、候補者の擁立に調整がかかってくると、現職、元職の人たちは『自分が立候補できなくなるんじゃないか』ということを、かなり危惧しています。
ですから小泉さんでは困るといった流れがある」
■公明党「小泉さんではアカン」
【加藤さゆり記者】
「さらに自民党員の方々が無視できない存在が、今自民党と与党の連立、協力関係にある公明党です。
公明党の大阪の幹部に聞いたところ、『小泉さんではあかん』とはっきりおっしゃっていました。
なぜかというと、小泉さんは自由でリベラルな主張なさる方ですから、公明党のカラーとかぶってしまう。
公明党というのは、今まで保守であった自民党を、制する立場でいた。それがリベラル寄りになってしまうと、自分たちの存在感が薄まってしまうんじゃないかと、そういったところを危惧する意味でも、こういった発言が出てきていました。
そういった中では、『林さんぐらいがちょうど穏健でいいんじゃないかな』という声が最近よく聞かれます」
(Q.高市さんはどうなんでしょうか?)
【加藤さゆり記者】
「高市さん公明党からすると、与党の連立をすぐに壊すわけではないと思いますが、どっちかというとちょっと主張が強い、保守色が強いというところで、公明党のカラーと『合わないかな』と危惧する声が聞かれます」
■「国民目線ではない」と菊地弁護士
【菊地幸夫弁護士】「今解説いただいたのだと、『自分が選挙で通るかどうなのか』、『自分たちの党が地盤沈下してしまうのではないのか』とか、私たちの生活にどういうような影響があるかというような、視点、論点ではないような気がする。
大統領制のような、我々が直接選ぶ総理大臣ではないですからね、我々が選んだ国会議員の中(で選ぶ総理大臣)ですから、だから国会議員としては、『この人に(票を)入れとくと、今度大臣になれるかな』。そんな思惑ばっかりが聞こえてくるような気がします」
【加藤さゆり記者】「本当におっしゃる通りだと思います。今後“自分がどこにどう政権に関わっていけるか”という所は、この5人の候補者の中にもありますしね。
例えば決選投票になった時に、誰に最後つくかというところは結局、自分の次のポストにつながるわけですから。本当に国民を見ているのかというところは、私たちもちゃんと見ていかないといけないと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2025年10月2日放送)