「運動といっても、ジョギングや筋トレのような本格的なものでなくてもかまいません。食後30分以内に食器洗い、掃除、ちょっとした片付けを行うだけでOK。食後に座らない。それだけで血糖値の上がり方は違います。何をするかよりもいつするかのほうが重要です」

運動というとハードルが高く感じるが、「10秒だけでも価値がある」と言う。

「運動を全くしないのと、少しでも動くのとでは雲泥の差があります。1日10秒でも、1分でも、動けば大きなメリットがある。やる気がある時に少しプラスするだけでいいんです」

ベジファーストや糖質制限…健康法として取り上げられるキーワードは多いが、効果は過大評価されがちだ。大坂さんが繰り返し訴えるのは、続けられる方法を見つけること。

「努力をするなら“どうすれば自分が無理なく習慣化できるか”を考えたほうがいい。食事も運動も、大変だと続きません。続けることが一番大事です」

不安を感じる場合は、早めに糖尿病専門医を受診することが大切だが、まずは甘い飲み物を控える、食後すぐにちょっと体を動かすといった小さな工夫から始めてみては?

大坂 貴史(おおさか・たかふみ)
医師。綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学講座 客員講師・臨床准教授。糖尿病専門医・指導医、総合内科専門医、日本医師会認定健康スポーツ医。糖尿病と筋肉、糖尿病運動療法が専門。病院の外で「糖尿病で不幸になる人を減らす」活動をしている。Xでは「筋肉博士」として医療情報を発信中。近著に『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)。

取材・文=黒木里奈

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