“血糖値スパイク”という言葉を見聞きしたことがあるだろうか。一般的に食後に血糖値が急上昇し、その後急降下することを指す。そして、血糖値スパイクを起こすと「眠くなる」「太りやすくなる」という情報がネット記事を中心に見られる。ところがそれらの情報には医学的な根拠が乏しい説も多いと、 綾部市立病院の糖尿病専門医・大坂貴史さんは指摘する。
眠くなる・太りやすくなるという誤解
血糖値スパイクを起こすと「眠くなる」「太りやすくなる」といった情報が広まっている。しかし大坂さんは、これらを「根拠がない」と一刀両断する。
「まず、食後の眠気の主な原因は血糖値の急上昇ではありません。白米やうどんや蕎麦などの水分を多く含んだ炭水化物を食べると、副交感神経が働き、リラックス効果によって眠くなるのです。血糖値スパイクによって眠くなるのだったら、血糖値が上がりやすいジュースを飲んだ後にも眠くなるはずですが、そうなりませんよね?」

炭水化物を食べた後に眠くなる人は、そもそも単に寝不足なのだという。
「たっぷり寝ている人は炭水化物を食べてもあまり眠くなりません。逆に、睡眠不足で炭水化物を食べるといつも眠くなっている人が、炭水化物を控えると眠くなりにくくなる。これが、血糖値スパイク=眠くなるという誤解につながっているのです」
「血糖値スパイクを起こしやすい人は太りやすい」という言説についてはどうだろう。