地域と関わり、人を育て未来をつくる。
プロのアスリートによる子どもたちへのキャリア教育とは。

この日、神奈川・川崎市内の下小田小学校に地元のプロバスケットボールクラブの選手が訪れました。

地域の未来を作る子供たちへ、“Bリーグのクラブが持つ強み”を生かし、将来の選択肢を増やすきっかけ作りに貢献する取り組みとは。

先日行われた、B1リーグ・川崎ブレイブサンダースが制作した“副教材”の贈呈式。

「KAWASAKI GLOBAL CHALLENGE NOTE」と題したこの副教材は、川崎市内の小学5、6年生の児童を対象に、“国内外で活躍できる人材の育成”を目的に作られました。

実は、他のスポーツと比較しても外国籍選手の割合が高いBリーグにおいて、選手同士が日常的に英語でのコミュニケーションをとっているというブレイブサンダース。

そんな多様な選手・スタッフが存在する特長を生かし、夢や目標設定、語学の楽しさなどを伝えた内容になっています。

例えば、贈呈式に参加していた飯田遼選手の場合、テーマは「世界とつながる自分」。
語学留学などの経験はないものの、自前で英語の勉強に励み、外国籍選手と英語でコミュニケーションできるまでになったことを題材にしました。

飯田選手を紹介するページ内の二次元コードを読み取ると、「普段僕たちは日本語でコミュニケーションを取ることに何も問題がない。でも自分がわからない言語だったり、わからない文化に対して、距離を取ってしまったらそれ以上先はない」と、テーマにちなんだ“生の声”が聞けます。

こうしたオリジナルの動画など、興味を持ち、楽しんで学ぶ工夫が施され、子供たちが自身の夢を考え、海外の文化・考え方に触れるきっかけを提供する1冊に仕上げました。

この日は出張授業も行われ、飯田選手は外国語に興味を持つことの大切さについて「時間かかってもいいから、自分の言葉で伝える。ちょっと恥ずかしいけど、伝わったらうれしいじゃん。英語できてよかったなと思うのは、自分の言葉で相手と会話できることがうれしい」と話しました。

自治体が子供たちの社会的自立のために必要な能力や態度を育てる“キャリア教育”に、地元のプロクラブが選手・スタッフという“財産”を生かし貢献する、“地域とクラブ”の新たな関わり。

川崎市・福田紀彦市長:
プロチームが川崎に存在していること自体、非常にシビックプライドにつながっている。クラブが地域を愛し、私たちがクラブを愛する、双方の関係ができているのは、非常に広がりを持ってきている。私たちにとって非常に宝のような存在。

川崎ブレイブサンダース・川崎渉代表:
クラブとして注目度が上がっていく中、地域に対してどういう価値を提供できるか考えざるを得ない宿命だと思っている。バスケをアリーナでするだけでなく、街にとって存在意義をしっかりと示していくことが、Bリーグ・Bクラブに求められてくる。

今回、川崎市内の小学5、6年生約2万5000人に配布されるこの副教材。
未来を作る子供たちの可能性を広げることは、持続可能な運営を目指すプロクラブにとっても、非常に大切な取り組みだといいます。

川崎ブレイブサンダース・川崎渉代表:
社会貢献だからマーケティングは入れないとか、マーケティングに社会貢献は入れないというところを考えず、きっちり(クラブが)続けられる状況を作る。それが街のためにもなるというのが一つ大事な考え方かなと思います。