SNSで話題を集めている富山の風景をミニチュアのように表現する映像クリエイターを紹介する。
一見ジオラマ?実は富山の風景そのもの


海岸沿いを走る氷見線やチューリップ公園など、細かく作られたジオラマのように見える映像。しかし、これらは実際の富山の風景をそのまま映したものだ。SNSに投稿されると「かわいく、不思議な世界観」で映し出される富山の景色はすぐに話題となり、フォロワー数は12万人を超えている。

この作品を手掛けているのは、「じおらま富山。」というアカウント名で活動する映像クリエイターのWallyさん。「富山かわいい」をテーマにミニチュアやジオラマ風に仕上げた動画を2年前からインスタグラムで発信している。
「いつも見えている景色がクリエイターやアーティストの目線の切り取り方によって景色自体がかわいく見えたりするのが、おもしろいと思ってやっている」とWallyさんは語る。
独特な世界観を作り出す秘密

その世界観がどのように生み出されているのか、撮影に同行した。撮影場所は地上70メートルの富山市役所の展望台。Wallyさんのお気に入りの撮影スポットの一つだ。

「ここの交差点が一気に車やバスが通る所なので、人通り、車通りある景色なので、映像でよく使用する」

独特な世界観を作り出す秘密は「ティルトレンズ」と呼ばれる特殊なレンズにある。このレンズの特徴は、ピントの位置を決めて、周囲のぼかす部分を細かく調整できる点だ。

「上下に(ピン)ボケを発生させることにより、無理やり景色に遠近感を出して目の錯覚でミニチュアジオラマ風に見せるっていうのがこのレンズで撮れる」とWallyさんは説明する。
撮影した映像に色を加えたり速度を変えたりして編集し作品に仕上げていく。元の景色と比べると、見え方が大きく変わり、本物のミニチュアのような雰囲気が生まれる。

「フィルムライクな感じにして、かわいらしい感じが伝わればと思いながら模索しながら今にたどり着いた」
世界からも注目される「富山かわいい」

Wallyさんが作り出すミニチュア風の富山の景色は、フォロワーの7割が海外の人々という国際的な反響を得ている。去年11月にはアメリカ・サンフランシスコのアートイベントに展示されるなど、世界からも注目を集めている。
「(これまで)東京とか大都会の方を上から見下ろす作品が多かったんですが、富山だとそんなたくさんの人がいたり、車がたくさん走るわけではないので、そのローカル感、エモーショナルな雰囲気をテーマに作ろうと思ったので、もしかしたらそれがうまいことはまったのかな」とWallyさんは成功の理由を分析する。

海外からの注目度の高さを示すエピソードとして、ニューヨークタイムズの記事が出た際には「君の作品の街じゃないの?」とフォロワーから教えてもらったというエピソードもある。
これまでに約90作品を制作しており、県内の様々な観光地がミニチュア、ジオラマ風の世界観で発信されている。撮影には高い場所が必要だが、富山には高い建物が少ないため、協力してくれるビルのオーナーを探しているという。
次に狙っている撮影地は「黒部ダム」で、今月中の晴れた日に撮影を予定している。天候が変わりやすく難しいとのことだが、どのような作品になるか配信が楽しみである。