福岡県内で、普通は自動販売機に売られているはずのない“或るモノ”を販売している自販機があると話題になっている。その“或るモノ”とは?
次々に新型自動販売機が登場
街のあらゆる場所に設置されている自動販売機。喉が乾いて飲み物を買うときなど私たちの暮らしになくてはならない、身近な存在だ。

時代とともに驚きの進化を遂げている自販機。作る工程も見られ、果汁100%。1杯あたり4個のオレンジを使っている生搾りのオレンジジュースの自販機や福岡を代表する有名店のとんこつラーメンを楽しめる自販機など、かつてはなかった新型自販機が次々と登場している。

そんな群雄割拠する“自販機界”のなか、福岡で「まさかの商品」が自販機で売られているという情報が入った。取材班が訪れたのは、福岡市に隣接する志免町。
情報を頼りに探してみると、自販機と書いてある上には、大きく寿司と記してある。何と売られているのは、寿司なのだ。

一体、どのようにして売られているのか? 自販機の中を覗くと、エビやイカなど、美味しそうなネタが並んでいる。

なんと『刺身の盛り合わせ』まで販売
にぎり寿司だけでなく、巻き寿司やいなり寿司、はたまた刺身の盛り合わせなど、屋外に設置されている自販機で「売って大丈夫?」とちょっと心配になる“生モノ”ばかりが陳列されている。

さまざまなネタが、8貫入ったにぎり寿司の値段は1000円。食べた記者によると、シャリが冷蔵されていたはずなのに、全く固まっていないという。「口の中でシャリがほどけていきます」というのだ。

こんなに本格的なにぎり寿司が、なぜ自販機で売られるようになったのか? この寿司を提供しているすし店を訪ねた。自販機の目の前にある『しめ寿し』だ。

『しめ寿し』代表の佐々木博文さんは「3年前くらいに、時間帯に関係なく、広くいろんな方に楽しんでほしいと思いまして、24時間、いつでも買えるお寿司を考えました」と話す。コロナ禍で一度、店を閉めたことをきっかけに、対面ではない販売方法を思いついたというのだ。

実際に、寿司を作るところを見せてもらうと、タイの昆布締めにマグロなどのネタが素早く握られていき、新鮮なネタがつややかに輝くにぎり寿司が完成した。まさに職人の技が光る。
秘密は冷蔵しても柔らかいシャリ
見た目はどれも美味しそうな寿司なのだが、自販機で提供する商品には、店内で出す寿司にはない、ある工夫が加えられているという。

それが、オリジナルで開発した冷気に強いシャリだ。

一般的に寿司で使われるシャリは、冷蔵されると固まりがちになる。しかし、元々、寿司のデコレーションケーキを商品にしていた『しめ寿し』では、その際に開発したシャリを自販機の寿司にも応用。美味しさの秘密は、冷蔵しても柔らかいシャリにあるのだ。

佐々木代表は「見た目では全然、分りません。中の水分量とか…、それ以上は企業秘密です」と笑う。

そんな工夫が詰まった寿司が売られている自販機には、次々と商品を買い求めるお客さんの姿がみられた。
「すごく安いし、すごく新鮮です。美味しいのでよく買います」(女性)。「店が全部、閉まっとうときに、何か腹が減ったと思ったら、家がすぐそこですからすぐ走ってきて買うことできる」(男性)。「食事の用意をしたくないとき、便利いいよ」(女性)など、買い求める客にも概ね好評だ。

24時間、いつでも楽しめる本格的な美味しさ。職人のこだわりが詰まった自販機の『すし』を一度、食べてみては如何?
(テレビ西日本)