石川県小松市の山あいにある波佐谷町で、新たな物語が始まった。7年前に閉校した旧波佐谷小学校が、地域の交流拠点「CHABU HASADANI(ちゃぶ・はさだに)」として生まれ変わり、地域の交流拠点となっている。そんな「CHABU HASADANI」に、アップルパイ専門店「ホームメイドアップルパイmiy(ミイ)」がオープン。さっそく調べてみた。
閉校した小学校が地域交流拠点に…「ちゃぶ台」を囲むように集まる場所

のどかな田園風景が広がる波佐谷町。かつて子どもたちの声が響いていた校舎には、大きな壁画が描かれ、プールや体育館がそのまま残されている。この懐かしい風景の中に、新しい賑わいが生まれようとしている。

「CHABU HASADANI」の名前の由来について、COMMON地域創生プロジェクトリーダーの任田和真さんは、「CHABUは昔なつかしい『ちゃぶ台』の"ちゃぶ"で、丸いちゃぶ台を囲んで家族で食事をするように、子どもからお年寄りまで誰もが自由に集まって交流ができる場所を作ろうと、去年プロジェクトをスタートしました。」と説明する。

校舎は現在、食品関連の会社のオフィス棟として活用されているが、グラウンド部分は、公園のようになっていて、地域住民や観光客が自由に利用できる。さらに来年春には、地元食材を使った料理が楽しめるレストランや食堂もオープン予定だという。

「人が集まってにぎわうことはもちろん、雇用を生み出すことで活気が出るのも、地域が続いていくためにとても大切だと考えています」と任田さんは語る。
母の愛情を込めたアップルパイ

そんな交流拠点にオープンしたのが「ホームメイドアップルパイmiy」だ。かわいらしい外観と、ドーム型の扉が印象的な店舗に足を踏み入れると、甘くて香ばしい香りがふわりと包み込む。

店内は赤で統一され、まるで絵本の世界に入ったような可愛らしい空間だ。ショーケースには美味しそうなアップルパイが並んでいる。

店名の『miy』について店長の竹田麻里恵さんは、「アップルパイは海外では家庭的なおやつとして親しまれています。日本でもアップルパイが思い出の味という人がいらっしゃるかといます。そのため、『miy』という店名は『my(私)』の中にある『i(愛)』、お母さんの愛情をイメージしました。」と話す。

国産リンゴとフランス産バターの絶妙な組み合わせ
miyのアップルパイの特徴について、竹田さんはこう説明する。
「国産リンゴを大きめにカットして使っているので、食感が楽しめます。また、フランス産の発酵バターをたっぷり使ってこくがありながらもサクッとした軽い食感を楽しむことができます。」

ドリンクメニューも充実している。すりおろしりんごソーダ、アップルティー、焼りんごほうじ茶と、まさにリンゴ尽くしのラインナップだ。

実際にアップルパイとすりおろしりんごソーダを味わってみると、その美味しさは格別だった。アップルパイは一口噛むとサクッと軽やかな音がして、口いっぱいにバターの香りが広がる。中にはゴロゴロとした大きなリンゴが入っており、ジューシーで甘酸っぱく、シャキシャキとした食感が楽しめる。

すりおろしりんごソーダは、リンゴそのものを食べているような濃厚な味わいで、すりおろしのリンゴの食感も楽しい。シュワッとした炭酸が爽やかさを演出し、アップルパイとの相性も抜群だった。

食を通じて豊かな暮らしを
店内奥のイートインスペースは、あたたかみのある色合いのレンガやリンゴを思わせる形のテーブルで彩られている。また天気が良い日は、外の芝生の上で味わうアップルパイは格別だ。赤い店舗の壁と緑の芝生のコントラストが美しく、まさにピクニック気分を味わえる。

「テイクアウトして外で食べるのもオススメです」と竹田さん。アップルパイは598円、すりおろしりんごソーダは500円と手頃な価格設定も嬉しい。

任田さんは、「食と体験を通じて日々の暮らしを少し豊かにしたい。地域のちゃぶ台を目指して活動を広げていくので、気軽に足を運んでください。」と話していた。

閉校した小学校が新たな交流拠点として生まれ変わり、そこに手作りの温かさを大切にするアップルパイ専門店がオープンした。CHABU HASADANIは、食を通じて人と人をつなぐ新しいコミュニティの場として、これからも注目を集めそうだ。

(石川テレビ)