国内外の観光客からも人気の「広島お好み焼き」。しかし、食文化や宗教、アレルギー対応など現場には多くの課題がある。
広島の大学生とソースメーカーが議論を重ね、お好み焼き店が抱える課題や打開策を発表した。
店舗でよくある“お困りごと”
「お好み焼きメインで広島を訪れる観光客は、日本人で10%、外国人だと7%しかいない」
お好み焼きの実情を熱く語る大学生。その話を真剣な表情で聞くのは、お好み焼き店の店主と「オタフクソース」の社員だ。

広島経済大学とオタフクソースが毎年行っている産学連携のマーケティング研究会。学生たちはチームごとに、現場で起きている課題を洗い出した。

たとえば、増え続けるインバウンド客への対応について。
隣の鉄板で焼かれた豚肉のにおいでベジタリアンが食事できないケースや、卵を食べるベジタリアンをビーガンと誤解して卵抜きで提供しトラブルになるケース。さらに「ソースの成分に肉エキスが含まれるか」といった執拗な確認、イスラム教徒が安心して食べられる「ハラル」への個別対応など、店舗だけでなく通訳ガイドからも証言を得てリアルな“お困りごと”を共有した。
中国人にはソースが甘すぎる?
続いて登壇したのは中国人留学生。中国人の口コミに「ソースが甘すぎて飽きやすい」「味付けが濃い」という声が多いと指摘した。

そこで提案したのは、ラー油や黒酢、花椒パウダーといった中国の食文化に馴染んだトッピングの追加だ。
「中国人は、辛い・塩辛い・脂っこい料理を好み、観光地でも同じ刺激を求める傾向がある」と説明。さらに「オタフクソースの中国工場で作られている辛味ドレッシングを応用し、大きなコストをかけなくても新たに“中華辛味ソース”を開発できる」と具体的な案を示した。
広島のソウルフードを未来へ
留学生の提案に、オタフクソース共創本部・大内康隆副本部長は「この発想は日本人にとっても分かりやすく、中国からの観光客にも有効だ」と評価。

また、別の留学生は「中国語のメニューに“中国人におすすめ”や“中国人に大人気”と加えるだけで観光客は喜ぶ」とアイデアを披露した。

ただ、インバウンド対応と同時に「若い世代のお好み焼き離れ」にも課題がある。企業側は「柔軟な視点で学生の発想を取り入れたい」と語る。
広島のソウルフードを守り、さらに世界へ広げるために…。学生、企業、店舗が一体となった熱い議論が活発になっている。
(テレビ新広島)