宮崎県延岡市に暮らす82歳の金井喜代さんは、73歳で弁当屋を始めた。料理好きが高じて始めた店は、地元食材を使った彩り豊かな総菜が人気だ。常連客や初めての客を温かく迎え、皆が美味しいと喜んでくれることが喜代さんの喜びだ。

この記事の画像(16枚)

午前8時半、住宅街の一角にある弁当屋の一日が始まる。

切り盛りするのは金井喜代さん(82)。午前11時の開店に向けて、喜代さん自ら厨房に立ち、腕を振るう。

金井喜代さん:
なんか今日は止まったね、おしゃべり。おしゃべりがみんな緊張して。

一緒に厨房に立つのは、娘の石丸昌子さんと、昌子さんの友人の畦原幸穂さん。この3人で弁当屋を営んでいる。

娘・昌子さん:
尊敬ばっかりですけど、「真似できないな」って思う。常に明るい。

金井喜代さん:
私、小学4年生の時から料理をさせられてたんですよ。家が農家で。
(Q.料理は好きですか?)はい、好きです。一番好きです。食べることも好き。

料理好きの喜代さんが弁当屋を始めたのは10年前、73歳の時。

金井喜代さん:
主人を介護し始めてからですね。今まで外を出歩くばっかりの私だったから、好きなお料理を作って、お店ができたらいいな、これから介護が長くなるなと思ったんですよ。

2015年12月、自宅の隣に弁当屋をオープンしたものの、2020年に夫の重明さんが亡くなり、喜代さんは癌に。2023年は転倒して腰の骨を折ってしまい、今は木曜日と金曜日だけ総菜屋として営業し、体調を見ながらの料理作りだ。

喜代さんは「みんなが美味しいって喜んでくれたらいいなっていうのはあるね。こんなのがお仕事になるとは思わなかった」と話す。

喜代さんが作る総菜は、地元の食材を使い、見た目にもこだわる。

金井喜代さん:
こだわりって、自分が私の好きな味にするもんだから。毎回味が変わる。

メニューを考えるのは喜代さん。その日の気分で品数が変わるそうだ。

この日並んだのは23種類。彩り豊かな総菜に、心が踊る。

森山記者:
こちらお店で一番人気のチキン南蛮をいただきます。柚子の風味がしてさっぱりしていて、とっても美味しいです。

喜代さんは常連客も、久しぶりの人も、初めて来たという人も、温かい笑顔で迎える。

お客さん:
美味しいです。ヘルシーです。なにより人柄がいいので来たくなる。

お客さんは途切れることなく訪れ、あっという間に売り切れてしまう総菜も。

金井喜代さん:
残念、ごめんね。また作るからね。

午後1時、喜代さんは休憩で自宅へ。自分の作った総菜を食べ、息抜きだという庭の手入れをする。そして休む間もなく買い出しへ。

齋藤精肉店 齋藤智恵子さん:
今からでもいろいろできるって思いました。力をもらえる。

笑顔の絶えない、地域に愛されるお弁当屋さん。

金井喜代さん:
好きなことをやっていれば、長生きできるんじゃないかなと思うんですよ。73歳からできます。十分できます。今度10年ですよね(弁当屋の)誕生日で。続けるかなと思ってます。今は目標は3年ぐらいかな。でも、まだやってたりして。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
テレビ宮崎

宮崎の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。