ミズナラなどの木が急に枯れてしまう「ナラ枯れ」が、函館市で初めて見つかった。
このナラ枯れの拡大で今後、クマが住宅地へ出てくる回数が増えるのではないかと心配されている。
管理員が異変を発見
「青々とした木々が生い茂る中で、こちらの木だけ葉っぱが枯れてしまっています」(阿部空知記者)
9月2日、函館市の見晴公園で管理員がコナラの木が枯れ、根元に大量の木くずがあるのを確認。
市が調べたところ、街路樹と2つの公園のナラ類、あわせて70本で「ナラ枯れ」が確認された。

「ナラ枯れ」は、害虫の「カシノナガキクイムシ」通称・カシナガが運ぶ菌でコナラやミズナラの木が急に枯れる伝染病。
函館市で「ナラ枯れ」が確認されたのは初めてだ。

「毎日の巡回でこの木こういう状態だったかなと異変に気づいた」
「上の葉っぱが赤いような茶色のような感じで簡単にいうと枯れている」(いずれも函館市住宅都市施設公社公園管理部 豊田徳子さん)

道内で急増するカシナガ
北海道の調査では、原因となる害虫のカシナガは2020年度に北海道内で初めて確認され、2年前には数が増え、松前町と福島町で北海道内初の「ナラ枯れ」も確認。
2025年度は、北海道南部の8市町で1000匹以上が確認された。

背景に温暖化か
寒さに弱いとされているカシナガが、なぜ北海道内で急に増えているのだろうか。
「温暖化の影響が要因なのかなと」
「寒い地域にも進出してきている」(いずれも酪農学園大学 伊吾田宏正准教授)

クマ対策呼びかけ
「最近、クマの出没が多いので気を付けて欲しいとの呼びかけでした」(警察官)
9月26日、札幌市中央区の藻岩山登山口では、警察などが登山客へクマによる事故防止の呼び掛けを行った。
「人のいない山には極力行かないようにはしてます」(登山客)

北海道警によると、北海道内のクマ目撃などの通報は8月までに2700件程で、2024年より650件も多くなっている。

クマ出没リスク高まる恐れ
ナラ枯れが拡大すると今後、さらに住宅地でのクマ出没が増える心配も。
コナラやミズナラの実であるドングリが減ると、それをエサとしているクマが食べ物を探し、人のすむ場所へ近づく恐れがあると専門家は指摘。
「人の生活圏に出没するようになりクマによる人身被害が増加する可能性もある」(伊吾田准教授)

住宅地でのクマ出没を防ぐためにも、ナラ枯れへの対策が急がれる。
「ナラ枯れが発生している枯れた木を探して除去するとか」
「まずは北海道内の実態把握が必要だと思う」(いずれも伊吾田准教授)
北海道内で拡大が懸念される「ナラ枯れ」。
北海道は疑いのある木を見つけたら振興局に連絡してほしいとしている。
