岡本楓賀アナウンサー:
「TSKと山陰中央新報のコラボ企画「カケル×サンイン」。
共通のテーマをテレビと新聞、それぞれの視点で取材し、ニュースの核心に迫ります。

村上遥アナウンサー:
「今回のテーマは松江ゆかりの文豪・小泉八雲。テレビドラマをきっかけに、舞台の一つ・松江の注目度も上がっています。松江を心のふるさととして愛した小泉八雲、その人物像に改めてスポットを当てました」

雪女をモチーフにした砂糖菓子に、八雲が愛した「プディング」、そして、八雲の好物にちなんだ「卵まんじゅう」など「八雲グルメ」に…怪談を聞きながら堀川をめぐる幽霊船の特別運航など八雲にちなんだ様々なイベントも。
小泉八雲・セツ夫妻をモデルにしたテレビドラマの放送開始を前にブームを先取り、ドラマの舞台として注目度が上がる絶好のチャンスを迎え、松江市を中心に県内では波及効果を狙った商戦も熱を帯びています。

村上遥アナウンサー:
「今回のドラマのヒロインとなる八雲の妻・セツは、八雲の名作誕生の背景にはなくてはならない存在でした」

今回、改めてスポットが当たることになった“ラフカディオ・ハーン”、小泉八雲。
妻、セツとの出会いの場所が松江でした。

1868年(慶応4年)、松江藩の士族の家に生まれたセツは、生後間もなく親戚の士族の養女となりますが、明治維新で士族は没落。セツも生活は貧しく進学をあきらめ、機織りの収入で家計を支えました。そうしたなか、セツは英語教師として赴任した八雲の身の回りの世話をする住み込み女中となり、これが2人の出会いとなりました。

八雲に関わる資料を保存し、その足跡を紹介する松江市の小泉八雲記念館。
セツの生き方にスポットを当てた企画展が開かれています。

村上遥アナウンサー:
「小泉八雲記念館ではドラマに合わせてセツに関する企画展も始まっています。まだドラマは始まっていませんが、すでに去年と比べて40%以上の来館者が訪れているということなんです」

2024年6月から2025年9月まで開かれた企画展には約12万人が来場。記念館はすでにドラマ効果を実感しているといいます。

小泉八雲の曾孫・小泉凡さん:
「ニュージーランドのアーティストの方が来られて、小泉八雲に関心を持って、これから予算をとってニュージーランドでもイベントしたいという話があった。直接のゆかりの地じゃないところの方も、少しづつ関心を持ち始めている」

当時は珍しかった国際結婚をした2人。
記念館の館長でもある八雲の曾孫・凡さんによると…。

小泉八雲の曾孫・小泉凡さん:
「しっかりと結びついている夫婦でリスペクトし合っていてハーンは『世界で一番のママさん』と言い、セツは『世界で一番のパパさん』と言っていた」

国籍や生まれ育った環境の違いを超えて、深く結ばれていたそうです。
その根底にあったのが…。

小泉八雲の曾孫・小泉凡さん:
「八雲の精神の根幹にある“開かれた心=オープンマインド”とか、かそけき者の声音に耳を傾ける態度を貫いた人だった」

心根にあったのは“オープンマインド”の精神。
八雲は様々な人を受け入れ、どんな人にも平等に接していました。

小泉八雲の曾孫・小泉凡さん:
「偏見を持って相手を見ない、そういう人柄は130年くらい前の人ですが、現代に通ずることを言っている」

松江に赴任して約1年3か月。
八雲は第五高等学校の英語教師として招かれ、九州・熊本に移ることになりました。

八雲会・内田融理事長:
「知り合って1年も経っていないし、愛情を確認してから半年もないその中で一緒に熊本へ行くということは、良く言えば勇気あるし変わってたんだなと思う」

セツの人柄を振り返るのは、「八雲会」の内田融理事。
1915年、松江時代の八雲に直接教えを受けた人たちを中心に創設した「八雲会」は、八雲の功績をたたえ次の時代に伝える活動に取り組んでいます。

ところで、今回のドラマ放送で盛り上がるのは松江市だけではありません。

熊本博物館学芸員(民俗学)・湯川洋史さん:
「熊本博物館で今年度から小泉八雲来熊135周年ということで、特別展を開催いたします」

八雲が3年間過ごした熊本市です。
当時、2人が暮らした住居は移築・保存されています。
熊本にもお気に入りの場所があり、いくつかのエピソードが残っています。

熊本博物館学芸員(民俗学)・湯川洋史さん:
「有名な話ですと、セツをデートに誘ったら墓だった」

熊本博物館では、小泉八雲をテーマにした初めての特別展を12月から開催。
セツが熊本の自宅で使っていた英単語帳や、八雲の「家族愛」を示す資料など、松江市の記念館が所蔵する資料を中心に約40点が紹介されることになっています。

今回のドラマをきっかけに、松江市と熊本市は連携して「八雲」を通じた文化・観光面での交流を進めるなど、新たな地域のつながりも生まれています。

小泉八雲の曾孫・小泉凡さん:
「(松江市が)八雲を通して世界とつながる街になって欲しい」

日本の知られざる姿を世界に紹介した「八雲」。
赴任から130年あまり、こよなく愛した松江の風景が再び脚光を浴びています。

TSKさんいん中央テレビ
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