学期末になると渡される通知表を巡り、新たな動きが出ています。
25日の「ソレってどうなの?」は、「親は不安?小学校の通知表廃止」をテーマにお伝えします。

静岡・掛川市の教育委員会が先日、「来年度は本市において小学校1年~3年の通知表を廃止し、その代わりに三者面談という形で子供たちの学びの成果を価値付ける」と発表。

市の教育委員会は、「子供の成長を多面的に評価できることに加え、教員が通知表を作成していた時間を面談の時間に充てた方が良いと判断した」などと説明しています。

小学校低学年の通知表廃止の動きは徐々に広がっています。

岐阜・美濃市では、2025年の春から小学校1年生、2026年度以降は1~2年生の通知表が廃止になります。

美濃市教育委員会・島田昌紀教育長:
劣等感を感じて自信や意欲を失うことがないように、仲間関係の序列につながらないようにということが大きな目的です。

この美濃市でも年に2回、保護者と個別面談を行い、学習や生活状況を口頭で伝えるほか、修了証とともに1年間の所見を書くことになりました。

そもそも「通知表」はなくしていいのでしょうか。

文部科学省によりますと、実は“通知表に法的な定めはない”といい、「評価の様式だけでなく、配るかどうかも含めて、学校ごとの判断に任せている。通知表の廃止は各学校で判断してもらっていいが、子供の学習の改善につながるよう、充実したフィードバックができるかをしっかり考えてほしい」ということです。

街の皆さんは通知表の廃止についてどのように感じているのでしょうか。

50代:
(将来の)道を狭めないという意味では、ありかなしだったら、すごい時代だけど、(廃止は)ありかなとは思います。その子の個性が幅広く、限定されないで伸びていく。伸びやかな時代に自由度は上がっていていいのかな。

30代:
(廃止で)いいと思う。評価も曖昧なところがあって、点数が低いと(子供が)ネガティブな気分になる。「もうちょっとここ頑張りましょう」とふんわり言ってもらった方が本人のやる気にも通じるんじゃないか。

一方で、こんな声もありました。

50代:
総合的な判断はほしいから、(通知表)あった方がいいかな。(面談は)平日になるじゃないですか、そうすると仕事の調整も難しい。

40代:
私自身はいい成績じゃなかったけど必要だと思います。比べることによって競争心が出るんじゃないかと思う。社会に出ても絶対にそういう場面はあるので、将来的に。

そして、「イット!」は2023年から全ての学年で通知表を廃止した「新宿区立 西新宿小学校」を取材しました。

子供たちに通知表の廃止について聞くと、「親からあまりゴチャゴチャ言われないからうれしい」「(通知表)いらない!体育の評価が低かったらイヤだから」「できるかできないか、しっかり書いてもらった方がいいから、あった方がいい」など様々な意見が聞かれました。

保護者からは「初めはどうかなと思ったんですけど、いざ入ってみると、これはこれでありかな」「子ども自身のプレッシャーとかにはならないのかなとも思う。逆に私は、自分で見て自分の得意な教科がいい評価だとうれしかった記憶がある。(通知表が)あるのはあってよかったかな」などの話が聞かれました。

校長先生にも通知表を廃止した理由を聞きました。

新宿区立 西新宿小学校・長井満敏校長:
学校の勉強は、どうしても“言われてやる”という部分が大きいかなと思うが、そうではなくて、自分から進んで取り組む。主体的に学習に取り組んでいく姿勢を身につけさせたいなと思いました。

また、教師側も成績の処理にかけていた時間が大幅に減ったため、他の業務にも余裕が出てきたといいます。

通知表を廃止して約2年、今後の課題について聞きました。

新宿区立 西新宿小学校・長井満敏校長:
どういうところが伸びたのか、どういうところで頑張ったかということが、家庭・保護者に伝わるような内容に変えていきたいなとは思っているが、なかなか難しいなと正直思っている。

このように変わりゆく通知表。
生徒の評価は点数だけで判断されるものではありませんが課題もあるようです。

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