千葉県の木更津市役所に取材班が向かうと、8月25日から26日にかけて1000件ほどの問い合わせの対応に追われていた。その理由は、JICA(国際協力機構)が進める「ホームタウン」構想が大きな波紋を呼んでいるためだ。

「技術があり、革新的で才能のあるナイジェリアの若者が、木更津市で暮らし、働くための特別ビザを日本政府が創設します」
22日付けで、ナイジェリア政府が特別ビザ発給に関するステートメントを発表。すると、その真偽を含め、日本国内で困惑の声が噴出した。

女性:
(ビザ発給)木更津市はしないけどナイジェリアはするって、どっちなんだろうな、みたいな。
別の女性:
“ホームタウン”ってなるとどんどん移民が来てしまうのかなって。

ネット上では木更津市役所の表記が一時、 何者かによりナイジェリア市役所に変わるひと幕もあった。

アフリカ・ホームタウン構想を巡る混乱は他の自治体でも発生している。
モザンビーク人の受け入れを巡る“噂”が広がり、愛媛県今治市も対応に追われ…。

また、山形県長井市を巡って、タンザニアの地元紙ではこんな報道が。
「日本は長井市をタンザニアに捧げた」

長井市・内谷市長:
全く事実誤認。日本政府が地方自治体を他の国にあげるなんてあり得ないわけで。

一体何が起こっているのか、そのきっかけは…。
石破首相:
日本はアフリカの皆様とともに笑いともに泣きともに汗をかきながら(アフリカ諸国の)課題の解決に一つ一つ取り組んでまいります。

横浜で開催されたTICAD、アフリカ開発会議に合わせ、JICAは日本におけるアフリカ諸国のホームタウンを公表。千葉県木更津市はナイジェリア、新潟県三条市はガーナなど、4つのホームタウンを認定。交流を通じたアフリカの課題解決と、日本の地方活性化に貢献することを目的としている。

ところが、ナイジェリア政府側は今回のホームタウン構想を通じ、木更津市への移住可能な特別ビザが発給されると突然発表したのだ。
そして、このナイジェリア政府の発表後イギリスのBBCや、アフリカの地元紙などが相次ぎ“ビザ発給”を報じた。

木更津市は、4年前の東京オリンピックではナイジェリアのホストタウンを務めたことがあるものの、現在、市内に在住するナイジェリア人は1人。
ナイジェリア人らしきSNSユーザーからは「日本は国内でナイジェリア人が暮らすための街をくれるみたいよ」「日本は人口が減ってるらしいから、僕たちが助けてあげよう」などの声が。
一方、木更津市民の受け止めは…。
市民:
バイト先とかにそういう方入ってきたら、うまくコミュニケーション取れるのかなとか。
別の市民:
活性化もありますし、(移民について)そこまで神経質になる必要になることはないかな。
突然の騒動に木更津市・渡辺市長は26日、「特別就労ビザ等発給要件の緩和措置などの事実については、私どもから要請したこともなく、全くの知らない状況。ホームタウンって言う言葉でイメージする内容と我々がやっていることは少し違う」などと話し、若者の人材教育などに協力するものであり、移住、移民の受け入れについて否定した。

タンザニアのホームタウンに認定された山形県長井市の内谷市長と、モザンビークのホームタウン・愛媛県今治市の徳永市長も、それぞれ移民の受け入れなどについて否定している。
さらに外務省やJICAも、今回の“ホームタウン”構想について、移民の受け入れ促進や特別なビザ発給が行われることは事実ではないとした。

林官房長官:
ナイジェリア政府に対しましては、事実関係を説明の上、ご指摘のあった点については既に訂正の申し入れを行っている。

日本国内で混乱が広がる今回の騒動。日本とナイジェリアのボタンの掛け違いが発端だったのか、詳しい説明が求められる。
(イット!8月26日放送)