8月、横浜で開かれたアフリカ開発会議でJICAが発表した、日本の4つの市を、それぞれアフリカ4カ国の「ホームタウン」に認定し、国際交流を後押ししようという「ホームタウン事業」

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しかし、誤った発表や報道が混乱を生み、自治体に抗議や問い合わせが殺到するなど、大きな騒動となりました。

9月16日には、岩屋毅外相が「引き続きSNSなどにおいて、誤った情報が拡散されている。このことが関係自治体の負担にもつながっているという状況を、重く受け止めている」と発言。

一部自治体からは、「ホームタウン」という名称が誤解されやすいのでは?と、名称変更の要望も出ており、政府もこれを検討するとしています。

「通常業務に支障」説明後も鳴り止まない抗議電話

それぞれの国の「ホームタウン」に認定された自治体は、現在どうなっているのでしょうか。

モザンビークのホームタウンに認定された、愛媛県今治市。
9月2日には、市役所のトイレに「移民反対」などの落書きがされ、警察に被害届を出す事態となっています。

愛媛・今治市の担当者:
もう名称変更しても、変わらないだろうと。むしろ名称変更くらいじゃ納得できないという声も多いんです。

さらに、タンザニアのホームタウン、山形県長井市は、いまだに抗議の電話が鳴り止まず、市民サービスなどの通常業務に支障が出て、中には疲弊している職員もいるといいます。

山形・長井市の担当者:
昨日は(抗議などの電話を)100件以上はいただいているかなと思います。1件1件の電話も結構長くなっているので、通常の業務に手をつけられない状況ではあります。
「アフリカから人を受け入れるなんて何事だ」とか、そもそも「交流自体やめろ」なんていう声もいただいています。

ナイジェリアのホームタウンである、千葉県木更津市では「白紙撤回」を求める声が挙がり、ガーナのホームタウン・新潟県三条市も、電話対応の職員が罵声を浴びせられるなどの問題が続いています。

国際交流員に「スパイ」心ない書き込み

そんな騒動の余波は、日本で暮らす外国人にも。

山形に住むタンザニア人のジャクソンさん。
日本に来て12年、これまで積極的に国際交流などに参加してきたといいますが、SNS上で移民への抵抗感や、強い言葉が投稿・拡散されていることについて、今の気持ちをこう吐露します。

日本に来て12年 タンザニア人・ジャクソンさん:
悲しい気持ちを感じる。一番悲しいことは、自分はしっかりしているのに、悪いことしていないのに、なんでそういうふうに…みんな(一緒と)まとめられるのか。そこはちょっと悲しいなって。

さらに、新潟県三条市で、8月から市役所での国際交流活動に取り組んでいる、国際交流員のカナダ人男性は、「ホームタウン事業」には全くの無関係にもかかわらず、“外国人”というだけで、市のSNSに「彼が受け入れを主導した」「スパイの可能性を疑わないのか」などと、いわれのないコメントがつけられました。

カナダから三条市に来た 国際交流員:
三条市に国際交流員として来まして、市民たちと外国との交流をつなげる活動をしています。
(SNSにつけられたコメントは)明らかに事実じゃないことで…。SNSというのは、うまく使えば国際交流のきっかけになると思います。悪く使うと、いろんな悪いイメージを広げる“災害”みたいなものになると思います。

本来、国際交流を後押しするための「ホームタウン事業」が、分断を生みかねない現実。
騒動はどのように沈静化へ向かうのか?今後について、JICAに問い合わせてみると…。

JICAコメント
「本事業の今後の在り方について、現在、関係自治体とも相談しながら、検討を進めているところです」

(「サン!シャイン」 2025年9月18日放送)