福岡市で去年8月、車を運転中に路線バスと正面衝突し、娘2人を死亡させたとして罪に問われていた母親に24日、執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。
現場近くの防犯カメラが捉えたのは、直進してきたバスに突っ込み、そのはずみで歩道に乗り上げて停止する車の様子です。
◆記者リポート(去年8月)
「前方が完全につぶれるような形でフロントガラスも大きく割れています」
福岡市早良区東入部で去年8月に起きた乗用車と路線バスが正面衝突した事故。
バスの運転手や乗客4人がけがをしたほか、車に乗っていた古賀優麗愛ちゃん(当時7)と妹の麻里愛ちゃん(当時5)が死亡しました。
◆事故現場近くに住む人(事故当時)
「後ろの2人ともちゃんとシートベルトもしていたし、指示を仰いで心臓マッサージをしたが意識が戻らなかった」
車を運転していた母親の古賀千尋被告は中央線をはみ出して事故を起こしたとして過失運転致死傷の罪で起訴されました。
なぜ悲劇は起きてしまったのか。
今年7月に開かれた古賀被告の初公判で、検察は「カーブする道路に差しかかっていたのにカーナビの画面に目を向けて車線をはみ出し急ブレーキを踏む間もなくバスと衝突した」と指摘しました。
裁判の被告人質問で古賀被告は…。
◆弁護士
「どうして事故を起こしたのかわかりますか」
◆被告
「なぜカーナビを見ていたのか分からない」
◆弁護士
「免許はどうしますか」
◆被告
「二度と取得しない。エンジンがついているものはもう運転しない」
事故に対する大きな後悔を口にしていました。
そして24日、福岡地裁で開かれた判決公判。
今泉裕登裁判長は「前方左右を注視して適切な運転操作をするという最も基本的で重要な義務を怠りカーナビを見てわき見運転をしていた」と指摘しました。
一方で「自らの不注意で最愛の2人の我が子を失い自責の念や喪失感にさいなまれている」などとして古賀被告に禁錮3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。
亡くなった2人はシートベルトは着用していた一方、事故の衝撃を和らげるジュニアシートは使っていませんでした。
弁護士によりますと古賀被告は事故の後、「子どもにジュニアシートを付けさせていればよかった」と、計り知れないほどの無念を吐露していたということです。