離島防衛を想定した陸上自衛隊とアメリカ海兵隊の共同実動訓練『レゾリュート・ドラゴン』が熊本を含む全国各地で行われています。
周辺国の活発な活動に対する抑止力と対処力の強化を図る過去最大規模の訓練を取材しました。
【アメリカ海兵隊 第3海兵遠征軍司令官 ロジャー・ターナー中将】
「日米同盟は73年以上わたり地域の安定の礎となってきたレゾリュート・ドラゴン25はその誇り高い歴史の最終章」
日米合わせて約1万9000人という過去最大規模の人員と装備で9月11日から始まった日米共同実動訓練「レゾリュート・ドラゴン」
訓練の目的は、南西諸島周辺や台湾有事をにらんだ『離島防衛』で、九州・沖縄の防衛を担う健軍駐屯地を拠点とする陸上自衛隊西部方面隊や日米の陸・海・空の部隊も
参加しました。
【西部方面総監 鳥海 誠司 陸将】
「島しょ防衛作戦における日米同盟の実効性と信頼性を向上させ抑止力と対処力の強化を図り我が国の防衛における強固な意志を国内外に示すことが必要」
訓練では、小規模な部隊を離島に展開させるEABO=機動展開前進基地作戦での日米連携強化が図られアメリカは機動力に優れた新たな兵器も投入しました。
【熊本 竜太リポート】
「離島での戦闘を想定した訓練が始まりました。海兵隊員が周囲を警戒し前線へと進んでいきます」
西日本最大の広さを持つ陸上自衛隊・日出生台演習場。
この日は、第8師団と海兵隊・第12海兵沿岸連隊による戦闘射撃訓練が公開されました。
自衛隊は相手の車両を想定し対戦車誘導弾を装甲車から発射し6キロ先の標的を狙う
榴弾砲の射撃も行われ、自衛隊を援護する海兵隊の一斉射撃は約40分間に及びました。
【第12海兵沿岸連隊 サラ・ボブロウスキ少尉】
「第12海兵沿岸連隊と自衛隊が共に訓練することは素晴らしい経験隣同士で訓練することで私たちは日々強くなっていると感じている。これは私たちの関係にとって
とても重要なことだと思う」
一方、5回目となる訓練は熊本県内でも大矢野原演習場や高遊原分屯地でも行われ山都町では反対集会が開かれました。
集会には、離島防衛に展開する長射程ミサイルが健軍駐屯地に配備されることが決まったこともあり、参加者の関心の高さがうかがえました。
【日米共同軍事演習に反対する山都町民の会 田上 博之代表】
「(健軍駐屯地への長射程ミサイルの配備は)日米共同軍事演習と併せて中国や北朝鮮など近隣諸国を刺激しさらに緊張を高めることになるのではないか」
レゾリュート・ドラゴンでは艦艇に対するミサイル攻撃を想定した訓練も行われ、今後、長射程ミサイルを運用するシナリオもより充実していくとみられています。
西部方面隊の鳥海総監は「一般論」とした上で着任後、ミサイル配備について・・・。
【西部方面総監 鳥海 誠司 陸将】
「隙がないということは攻められないということもし攻められてミサイルが飛んできたとしても第2撃のミサイルは必ず抑えなければならない抑止が必ず効くように防衛力を運用していきたい」
戦闘訓練終了後、アメリカ海兵隊は訓練で使用した兵器をメディア向けに展示しその用途や特徴を解説しました。
これまでの訓練公開ではなかった光景です。
防衛省は訓練のシナリオについて「特定の国を想定していない」としていますが、南西諸島周辺で活発な活動を加速させる中国などの周辺国へ「日米は断固たる対応で
抑止力と対処力を強化させる」との姿勢を示す狙いがあるとみられています。
実動訓練レゾリュート・ドラゴンは9月25日まで行われます。