2023年4月に道路交通法が改正され、自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務になった。福島県警察本部の調査によると、ヘルメット着用率は県全体の平均は27%、前の年と比べて8.8ポイントアップ。全国平均の21.2%を上回り、全国順位は14位から11位に上がった。着実に浸透しているが、地域差があるようだ。
福島県でダントツの着用率 いわき市
地域別にみると、福島市18%(8.8ポイントアップ)会津若松市10.4%(1.4ポイントアップ)郡山市5.6%(0.9ポイントダウン)、そしていわき市は72.9%と前年と比べて29.2ポイントもアップしている。この上昇には高校の取り組みがあった。

全校生徒の75%が自転車で通学をしている平工業高校では、ほとんどの生徒がヘルメットを着用していた。
深谷亮幸教頭は「駅から非常に離れたところに学校があり、自転車の使用率が多い。生徒の命を守るためにヘルメット着用の『校則化』を行った」と話す。
校則化の効果
2024年4月からヘルメットの着用を校則にし、また月に2回登校指導でヘルメットの着用などをチェックしている。着用率は校則化した直後の約6割から、現在9割以上にアップした。
生徒からは「自分の安全や、他の人の安全安心を守るために着けた方が良い」「髪型を気にするより、命第一優先でヘルメット着用しています」との声が聞かれた。

この“校則化”の効果について、ヘルメット着用を呼びかけている、いわき中央警察署・交通第一課の風越創平係長は「きちんとヘルメット着用してる姿が模範となって、他の方も自分の命を守るためのヘルメット着用の重要性を分かっていただいた。そういった波及効果的なものも認められるのではないか」と話した。
警察などによるといわき市内の高校では、小名浜海星高校でもヘルメット着用を校則化している。また、他にも校則化を検討している高校もあり、今後も広がっていきそうだ。

福島県内では、2025年は自転車乗車中に3件の死亡事故が起きていて、いずれもヘルメットを着用していなかった。ヘルメットを着けていないと事故にあった場合の死亡率が約1.6倍から2.4倍に上がるとされている。
いわき市のような取り組みが広がり、さらにヘルメット着用率がアップしていくことに期待したい。