ノーベル賞のパロディとして知られ、毎年ユニークな研究が選ばれる「イグ・ノーベル賞」を、2025年に日本の研究チームが受賞した。受賞した研究は「シマウシ」に関するもので、実は県内でも過去に同じ実証実験が行われていた。

(農業・食品産業技術総合研究機構 兒嶋朋貴さん)
「ウシにシマウマのような模様を描くことで、吸血性のハエがとまるのを防ぐ」

イグ・ノーベル賞生物学賞を受賞したのは、農業・食品産業技術総合研究機構の研究員などでつくるチーム。

この研究チームは、「シマウマの縞模様には虫よけの効果がある」という海外の研究結果をもとに、黒毛のウシに縞模様をつけた「シマウシ」は“模様のないウシ”と比べて、虫のつく数が半分ほどに減ることを検証で明らかにした。

虫を介した感染症の予防や、血を吸われることによるウシのストレスを軽減する効果が期待されているこの研究。
実は、米沢牛の産地・置賜地方で過去に実証実験が行われていた。

(リポート)
「牛舎の中でひときわ目立つシマウマ模様、『どうしてシマウマが?』と思ってしまいますが、実はこちらもウシなんです」

実証実験は、置賜総合支庁が小国町の畜産農家と協力して2021年から3年間行われていた。
その結果、虫を避けるための首や尻尾を振る行動が約7割減ったことが確認されたという。

実験は当初、「虫が多く、放牧ができない場合に有効なのではないか」と仮説を立て行われたそう。
しかしウシを縞模様に塗る作業に、予想以上に手間とコストがかかることがわかり、これまでのところ実用化には至っていないという。

以前この実証実験を放送した際、ナレーションを担当していたので、「ユニークな研究」と思ったのをよく覚えている。
イグ・ノーベル賞を受賞した研究と同様の実証実験が県内でも行われていたのはうれしい。

手間とコストによって実用化されていないということだが、置賜総合支庁では当時リーフレットを作るなど広報にも力を入れたこともあり、担当者は今回の受賞について「ちょっとうれしいですね」と話していた。

さくらんぼテレビ
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