有害性が指摘されている有機フッ素化合物、PFASが岡山県吉備中央町を発端に全国で出ている問題で新たな一歩です。環境省が9月19日、国内で初めてとなる濃度を低減させる技術の実証事業を吉備中央町で始めました。
(戸田奈沙記者)
「工事車両の奥には一面にブルーシートが広がっています。きょうから作業員が入り、現場の測量を始めました」
19日に始まった実証事業。汚染の原因となった使用済みの活性炭を置いていた場所のうち、比較的、濃度の高いPFASが検出された約500平方メートルで行われます。環境省が実施業者として選んだ大阪市の建設会社、鴻池組の関係者が午前8時頃、現地に入り、作業に向けて測量などを始めました。
2025年11月上旬まで土壌を0.5メートルから2メートル程度掘って濃度を低減させるほか、土壌を熱で分解するなどしてPFASそのものを限りなくゼロにする手法を検討します。
環境省は吉備中央町を含めてPFASが検出された国内3カ所を対象に濃度を低減させる技術を公募していたもので、2025年7月、応募のあった74件のうち9件の技術を持つ業者を選びました。
この場所で採取した土壌は、選んだ他の業者にも渡し、水で洗浄したり薬品で固めて閉じ込めるなどそれぞれの手法で濃度を低減できるか検証するということです。
(鴻池組環境企画部 小山孝部長)
「全国的にも注目を集めている場所なので、実証事業を行うことに責任の重さを感じる。われわれの技術の有効性を確認して、当地や全国で顕在化するPFAS問題の対策・検討の一助になれば」
環境省がPFASに特化した実証事業を行うのは今回が初めて。飲み水の汚染も確認されPFASに対して懸念を持つ住民は。
(円城浄水場PFAS問題有志の会 小倉博司代表)
「初めて環境省が金をかけて やることは歓迎している。基本的に僕らは(PFASの値は) ゼロでないと納得できない」
環境省は選んだ技術について、2026年3月末までに最終的な評価をまとめる方針です。