大手商社の三菱商事などで組織する企業連合が、秋田県沖の2つの海域で洋上風力発電事業から撤退したことを受けて、秋田県の鈴木知事が経済産業省に、速やかに再公募するよう要望しました。
三菱商事などで組織する企業連合は、政府が第1弾として公募した2021年に、「能代市・三種町・男鹿市沖」と「由利本荘市沖」など国内3つの海域で洋上風力発電の事業者に選定されました。
しかし、8月27日三菱商事は建設費の高騰などを理由に撤退を決めています。
これを受け鈴木知事は19日午後、経済産業省を訪れ、武藤容治大臣に要望書を手渡しました。
要望書では、撤退した2つの海域の速やかな事業者を再公募すること、撤退の影響を抑えるための最大限の支援、それに、他の海域でも事業者が撤退しないような事業環境の整備を求めています。
県は、県内企業を対象に撤退の影響を調査したところ、回答のあった298社のうち、製造業・建設業を中心とした72社が「影響がある」と答えたほか、先行して設備投資をした企業が12社確認されました。
面会で、武藤容治経済産業大臣は「漁業を含めて関係者の気持ちが整い、ようやくこれからという時に今般の撤退は、まさに地元の期待を裏切るものと認識をしている。秋田県において地元企業への影響調査を実施されたと承知している。そうした調査の結果も踏まえつつ、経産省としても地域のみなさんと連携しながら地域に大きな影響が生じないできることを最大限取り組んでいきたい」と述べました。
面会を終えた鈴木知事は「経済産業大臣からは速やかな再公募に向けて努力するとしっかりした回答がもらえた。再公募に向けた道筋はもうついているという印象を受けた。秋田の経済規模に比べてプロジェクトが大きいので、その辺りをしっかりと話し、大臣もそこは重く受け止めていると私には見えた」と答えました。
洋上風力発電事業はコストが上昇し、採算を取ることが難しくなっていることから、政府は事業者に対し利益を確保できるよう支援を厚くする方針です。