実りの秋を迎え、新潟県産のコシヒカリの収穫が進んでいる。全国に向けた出荷も始まる中、気になる品質、そして価格の見通しについて取材した。
魚沼産コシ “一等米比率”は回復見込み
新潟県小千谷市にある倉庫に運び込まれたブランド米『魚沼産コシヒカリ』。
JA魚沼では、今年とれた魚沼産コシヒカリの品質検査が9月8日から始まっている。

JA魚沼経営管理委員会の久賀満会長は「現在、出荷されているものを見ると、非常に整粒状態、それからコメの状態は良いと思っている」と話す。
この日は約30トンが検査され、検査員が袋から無作為に抜き取った玄米について、粒の色や形・水分量を目視や機械を使って確認した。
9月10日時点のJA魚沼の魚沼産コシヒカリの一等米比率は73.5%と平年を下回っているが、関係者は心配されていた暑さや水不足に対しては「生産者が水や肥料の管理を徹底した」として、今後、検査量が増えれば一等米比率は回復するとみている。
久賀会長も「甘みも違うし、歯ごたえも食感も違う。今年も皆さんにおいしいお米を提供できると思っている」と自信をのぞかせた。
「4000円前後で出すことは可能だが…」
一方、長岡市ではJAによる県産コシヒカリの県外向けの初出荷式が行われていた。

関東へ向かうトラックに積まれたのは、JAえちご中越管内でとれたコシヒカリ合わせて12t。
県外向けの初回の出荷量は、去年の231トンと比べて減少しているが、これは雨の影響で稲刈りが遅れているためで、今後、収穫が進むにつれて出荷量も増えていくという。
こうした中で気になるのが、価格の動向だ。
JAえちご中越経営管理委員会の吉田文彦会長は「常識的な手数料とか精米にかかる費用とか勘案すれば4000円前後で出すことは可能。ただ、ほかのコメとの位置関係というか、置き所からいけば、もっと上がってくるような状況になるとは思う」と話す。
“コメ離れ”懸念も味に自信
JA全農県本部が示した今年の仮渡し金は、一等米の一般コシヒカリ60kgあたりで去年の約1.7倍となる3万円に。

生産コストが増加する中、農業経営の継続につながることが期待される一方で、価格高騰による消費者のコメ離れへの懸念の声も聞かれる。
吉田会長は「消費者の目線で見れば価格に応えている味かどうか、品質かどうかっていうのは関心が高いと思う。受け入れていただける味に仕上がっていると思う」とその味に自信を見せた。
JAえちご中越のコシヒカリは9月11日時点での一等米比率が91%に。
「まじめにコメを作って成果が出たということで、新米をぜひ全国の皆さんに食べて味わってもらいたい」と話す吉田会長。
猛暑や水不足に負けずに育った新米コシヒカリは精米や袋詰めの作業を経て、県外での販売が始まる予定だ。
(NST新潟総合テレビ)