世界陸上が開催され日々熱狂に包まれている国立競技場で17日、場内にあるフィールドトラックをロボットが疾走した。
スタートラインに並んだのは、分身ロボットOrihime。このロボットを操縦するのは障害のある子供たち。
子どもたちは、競技場から遠く離れた福祉・医療施設から遠隔操作で操縦。選手らが日々熱戦を繰り広げるトラックを同じように駆け抜けてもらおうと企画された。
企画は、東京都のスポーツ推進本部の職員が考えたもの。世界陸上が東京で開催されている期間中に都内の子どもたちを招待して、選手と同じ目線で国立競技場のトラックを駆け抜ける特別な体験をしてもらうというもの。
この企画を検討している時に、職員の間から「障害のある子どもにも同じように楽しんでもらいたい」との意見があがり、様々な案の中から分身ロボットによる遠隔操作という方法を考えついたのだ。
当日、フィールドには、モニターが設置され、障害のある子供たちが福祉、医療施設から分身ロボットを遠隔操作する様子も映し出された。現地に参加した子どもたちにエールが送られる中、分身ロボットもスタートラインに。合図とともに、分身ロボットが一斉にスタート。
フィールドを駆け抜ける子どもたちとロボットには会場から大きな声援が送られる。
最後のロボットが走り終えるまでみんな必死に声掛けをし、ゴール。福祉、医療施設から参加した子供たち、国立競技場から声援を送った子供たち、ゴールを終えたあと、みな笑顔で勝負をたたえ合った。
タイムや記録を競いあう競技場が、タイムや記録を競いあう、競技場が、この時だけ、穏やかな顔をみせたようにみえた。