物価高騰の波が、子どもたちの成長を支える学校給食を直撃している。限られた予算の中で、栄養満点でおいしい給食をいかにして提供し続けるか。富山県射水市の小学校を訪ね、子どもたちの食を守るための現場の工夫と努力を取材した。

この記事の画像(9枚)

続く食材高騰が給食に影響

小杉小学校に提供されている「富富富」の10キロあたりの仕入れ値は3990円。これは昨年から800円の値上がりだ。

コメ以外の食材も値上がりしており、射水市教育委員会は2学期から市内の小中学校の給食費を1食あたり10~15円値上げした。値上げは2年連続となるが、増額分はすべて市が補助しているため、保護者の負担は増えていない。

「コメやパン、牛乳が値上がりして、射水市でも給食費が値上がりした。副食でも他の食品が値上がりしている。質を落とさずにどうやって提供するか試行錯誤している」と小杉小学校の長谷川茉紀栄養教諭は語る。

限られた予算内での工夫

一食当たりの予算は330円。そのうち150円は牛乳とコメに充てられ、副菜や汁物などには180円しか使えない。この限られた予算の中で、ボリュームと栄養を確保するため、長谷川さんは独自の工夫を凝らしている。

「射水市はレンコンやゴボウが単価が高い野菜、量を少し減らしている。子どもたちが、ゴボウや鶏の出汁がきいていて美味しいと言っていたので色んなものを子どもたちに食べさせてあげたい」

高騰しているキュウリを減らし、比較的安価なキャベツを増やすなど、値段に応じて使用する野菜の量を調整している。また、地元農協から野菜の生育状況や価格情報をこまめに入手し、日々の献立に反映させている。

県内で広がる給食費値上げ

県内15市町村のうち、この1年で給食を値上げしたのは11市町村にのぼる。値上げ分を自治体が補助するケースが多いが、高岡市、砺波市、魚津市では保護者の負担が増加した。ある自治体の担当者は、今後も食材高騰が続けば、さらなる給食費値上げの検討も避けられないと話している。

「収穫量や育ち具合も値段に直結してくる。子どもたちが給食を楽しみにしているからその気持ちにしっかり応えられるように物価高に負けず頑張りたい」と長谷川さんは決意を語った。

子どもたちの健康と成長を支える学校給食。価格高騰の波に揺れながらも、その質を守るために奮闘する現場の努力が続いている。

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。