愛知を拠点に活動するバンド「スーパー登山部」は、その名の通り音楽をしながら山登りもするバンドです。標高2900メートルの山小屋で行ったライブに密着しました。

■楽器など30キロの荷物を背負い過酷な登山へ

長野県白馬村の猿倉の登山口に大きな荷物を持ってやって来たのは、愛知を拠点に活動するバンド「スーパー登山部」です。

キーボードの小田智之さんやボーカルのHinaさんなどメンバー5人はいずれも愛知県出身です。5人はその名の通り登山もする音楽バンドで、2025年5月には三重県菰野町の御在所岳山頂で音楽フェスも開催するなど、今注目を集めています。

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そんなスーパー登山部が今回挑むのは、標高2932メートルの北アルプスの名峰・白馬岳。その山頂直下にある山小屋「白馬山荘」でのライブです。

小田さん:
「山に登って音楽を聴く体験が本当に特別だと思うし、お客さんからもそれを感じる」

ギターやキーボードなどそれぞれの楽器を背負って山登り。2024年も開催している白馬山荘ライブですが、今年は5日間連続で開催。その分、重い荷物を運ぶことになります。

小田さん:
「(荷物は)30キロですね。それでこれだけの時間を歩けるかどうか」

■小雨と急登…体力を奪う過酷な道のりを仲間と進む

午前7時、登山開始。

小田さん:
「前回ここら辺はきつい印象なかったけど、重さがあると全く変わりますね」

白馬岳頂上までは標準で約6時間の道のり。最大で30キロの荷物を背負うメンバーは8時間程度を目指して登ります。

登り始めてから約2時間。見えてきたのは日本三大雪渓として有名な「白馬大雪渓」。夏でも溶けない雪の登山道を滑らないようアイゼンを装着して登ります。

突然小雨が降ってきました。雨が雪にあたり水蒸気に。登り始めて6時間、雪渓を抜けると傾斜がきつい岩場が続きます。

小田さん:
「コースタイムで見る感覚と体感が全然違ってすごく急登なので、想像以上に(体力が)しぼりとられます」

登り始めて9時間、スタッフの荷物が想定より重くなってしまい到着に遅れが。安全を確保しつつペースを上げてひたすら登り続けると、到着を歓迎するかのような夕焼けが待っていました。

小田さん:
「大変でしたけど無事に着けてよかったです。天気も良くて景色も良い」

■5日間連続公演に挑戦…集まった観客は100人超

翌朝、霧に包まれる中、白馬岳の頂上へ。あいにくの天気でしたが、絶滅危惧種・雷鳥の親子に遭遇しました。

白馬山荘に戻ると会場となるレストランでライブの準備です。本格的なライブを開催するため、今回はスピーカーなど重い機材は白馬山荘の協力の元にヘリコプターで運搬してもらいました。

山好きで唯一登山経験があった小田さんが主体となり、2024年に続いて開催した白馬山荘でのライブ。

小田さん:
「去年よりアップデートして5日間連続。僕らも1週間滞在する上での装備が増えているし、その分登山も大変になっちゃったけど、私たちの音楽を届けられたら」

そして、平日にもかかわらず100人以上の観客が集まりました。

小田さん:
「2年前にプライベートで登りに来て、置いてあるピアノで演奏したのがこの白馬山荘ライブをやるきっかけだった」

観客:
「コンサートがあるのも知らないで来た。もう75歳になるので、今回が最後になると思って、最高の白馬登山でした」

別の観客(スーパー登山部のファン):
「生で聞くスーパー登山部はすごく魅力的で、山登ってきた後に聞けてすごく嬉しかった」

小田さん:
「音楽を今まで意識してきていない人が、登山という共通のものがきっかけで初めてライブを見るのがすごく嬉しい。山も音楽もすごく好きだし、それがやりたいことだから」

山と音楽の魅力と可能性を広げるため、スーパー登山部の挑戦はつづきます。

東海テレビ
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