8月19日からの記録的大雨で大きな被害が出ている秋田県仙北市では、農地の被害が次々と明らかになっている。ホウレンソウは泥に覆われ、収穫を控える田んぼにはたくさんの石や流木。地域の基幹産業・農業に深刻な影響を及ぼしている。

農業用ハウス倒壊 ホウレンソウは泥に覆われる

桧木内川の氾濫から27日で1週間。仙北市の上桧木内地区では住民などが連日片付け作業を進めている。市内では23棟の住宅で浸水などの被害が出ていて、26日から罹災(りさい)証明書の発行が始まった。

復旧に向けた動きが進む中、徐々に明らかになっているのは地域の基幹産業・農業への被害だ。

川の氾濫で倒壊した農業用ハウス
川の氾濫で倒壊した農業用ハウス
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川の近くにある場所には石がたくさん散乱していて河原のようにも見えるが、実はここにはホウレンソウを育てる農業用ハウスが並んでいた。

上桧木内地区の若松金男さんは、11棟の農業用ハウスでホウレンソウを育てているが、桧木内川からあふれた水でほとんどが倒壊した。収穫間近のホウレンソウは泥に覆われた。

育てた野菜や稲が被害を受けた若松金男さん
育てた野菜や稲が被害を受けた若松金男さん

被害を受けた農家・若松金男さん:
「やっかいなのは泥。1棟を片付けて、あるところから土を持ってきて入れても今年中には再開できない」

厚い泥に覆われたホウレンソウ
厚い泥に覆われたホウレンソウ

ホウレンソウを育てるためのたい肥が流された上に、畑を厚く覆う泥や石などを取り除くには重機が必要で、今後の営農に暗い影を落とす。

若松さんは「元々の土に戻すのに何年もかかると思う。そこまでしてやるかと考えれば、あまり良い返事はできない。ハウスは元通りに建てられないような感じ」と肩を落とす。

田んぼに大量の石や流木 刈り取り間近の稲は倒伏

農業用ハウスを流した水は、隣り合う田んぼにも流れ込んだ。

大量の石が流れ込み稲も倒伏した田んぼ
大量の石が流れ込み稲も倒伏した田んぼ

大きな杉の木が田んぼの中に入り、たくさんの石も入った。石があると稲の刈り取りができなくなってしまうという。

若松さんは3.6ヘクタールの田んぼでコメ作りをしているが、刈り取り間近に多くの稲が倒れてしまった。収穫量は落ち込む見通しだ。

若松さんは「復旧は少しずつしかできないと思う。頑張るしかない」と語った。

住宅被害の世帯に最大60万円の見舞金支給へ

秋田県は26日に開かれた県議会との県政協議会で、大雨で住宅被害を受けた世帯に見舞金を支給することを明らかにした。

8月19日からの大雨では、仙北市や能代市など6つの市と村の住宅82棟で半壊や床上浸水などの被害が報告されている。この他にも、8月の度重なる雨で40棟の住宅被害が確認されている。

見舞金について説明する鈴木健太知事
見舞金について説明する鈴木健太知事

見舞金は、住宅が全壊した世帯には60万円、半壊や床上浸水の世帯には20万円が支給される予定で、申請の手続きは必要ない。市町村の調査が終わり次第、順次支給されるという。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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