噛まれはしなくても、服やリュックにマダニがついているのに気づかず、そのまま家に持ち帰ってしまう可能性もないとはいえません。
家に帰ったらすぐにシャワーを浴びて服を着替え、それでも部屋にマダニを持ち帰ったかも?と不安を感じた時は、念のため部屋や荷物にマダニ用の殺虫剤を使っておきましょう。
また、子供やペットを庭で遊ばせることの多いご家庭は、スプレータイプのマダニ用殺虫剤を庭の芝生に吹きかけておくと、万一、庭にマダニがいたとしても噛まれにくくなります。

実は、マダニが潜んでいるのは野山だけではありません。かつてマダニに対する殺虫剤の実証実験に参加した時、なによりも驚いたのは、マダニが意外な場所に大量に潜んでいるという事実でした。たとえば、林道脇の落ち葉の中、住宅街の空き地や河川敷、公園などにもです。
ペットも発症する可能性も
ということは、散歩中の犬や、地域猫として放し飼いで飼われている猫もマダニに噛まれるリスクがあることを意味します。
SFTSウイルスは、人間だけでなく野生動物やペットにも感染し、発症します。
2017年には広島の動物園の2匹のチーターがSFTSに感染して死んでしまったという事例が報告されているし、ペットの感染例もこれまでに多く報告されています。気になる犬猫のSFTS感染による日本における致死率は人間よりも高く、猫の場合は64.7%前後、犬の場合は26%という報告があるようです。

さらにやっかいなことにSFTSウイルスは、感染した動物の体液(血液、唾液、便、尿)にも含まれます。つまり、マダニに噛まれてSFTSを発症した猫や犬が、飼い主の口をペロペロなめただけで飼い主がSFTSに感染してしまう可能性があるのです。
冷たいように思われるかもしれませんが。私はどんなに可愛い犬や猫であっても、よその人の飼っているペットにはなるべく触れないようにしています。可愛い子犬に顔をペロリとなめられて亡くなったなんてことになったら、あまりに悲しすぎますからね。
ペットには駆除剤を投与
では、ペットたちをマダニから守るために飼い主は何をすればいいのでしょう。