この連休、長野県内の山岳では北アルプスなどで遭難が7件相次ぎ、10人が救助され、5人が重軽傷を負いました。また、3人が技量不足により行動不能に、2人が低体温症のような症状で動けなくなりました。長野県警は「自分の技量に見合ったルート選びをする」「余裕ある登山計画を立てる」など注意を呼びかけています。
■唐松岳 転倒して重傷
9日、北アルプス唐松岳で登山をしていた静岡市の会社員の49歳男性が転倒し大けがをして、ヘリコプターで救助されました。
男性は9日、唐松岳の山頂付近の登山道(標高約2600メートル)で転倒してけがをしました。
午前6時前、本人から長野県山岳遭難防止常駐隊員に救助要請があり、午前8時前、県警ヘリで救助し、松本市内の病院に搬送しました。男性は右ひじ脱臼骨折で重傷です。
男性は8日、3人パーティで八方尾根登山口から入山し、9日、下山予定でした。
■唐松岳 転倒して軽傷
また、同じく北アルプス唐松岳で登山をしていた兵庫県尼崎市の会社員の53歳男性が登山道で転倒し、けがをして救助されました。
男性は9日、単独で日帰りの予定で八方尾根登山口から入山し、唐松岳から下山中、八方尾根の扇の雪渓付近(標高約2350メートル)の登山道で転倒して、けがをしました。
午後4時頃、本人から長野県山岳遭難防止常駐隊員に救助要請があり、隊員3人が出動し、午後8時頃、男性を救助しました。左足首をけがしましたが、軽傷とみられます。
警察によりますと、男性は木の根に足を挟まれて転倒したということです。
■涸沢 けがをして行動不能に
北アルプス涸沢では登山をしていた東京都江東区の会社員の64歳男性がけがをして行動不能となり、救助されました。
男性は9日、涸沢から上高地に向けて下山中に、けがをして行動不能になりました。
午前6時40分頃、本人から「右足が痛くて自力下山できない」と警察に救助要請があり、長野県山岳遭難防止常駐隊員が出動し男性を救助、午前11時40分頃、同行下山しました。
男性は右足をけがしましたが、軽傷とみられます。
男性は8日、単独で上高地から入山していました。
■明神岳 3人が技量不足で行動不能
北アルプス明神岳では登山をしていた男女3人が技量不足のため行動不能となり、ヘリコプターで救助されました。
北アルプス明神岳で遭難したのは、東京都福生市の自営業の男性(47)、千葉県市川市の無職の女性(59)、東京都国分寺市の女性(51)の合わせて3人です。
3人は9日、上高地から入山し、明神岳を経由して岳沢方面に向かっていたところ、奥明神沢付近(標高約2700メートル)で技量不足のため行動不能となりました。
午後2時半頃、47歳の男性から110番に救助要請があり、長野県警ヘリが出動し、午後5時前に3人を救助しました。3人ともけがはありません。
警察によりますと、3人は登山道のないバリエーションルートで、ルート選定を間違えて、崖に出てしまい、動けなくなったということです。
■ロッククライミング中に落下
長野県川上村の小川山では、横浜市の公務員の61歳男性がロッククライミング中に落下し、けがをして、ヘリコプターで救助されました。腰部骨折で重傷の模様です。
男性は9日、友人3人と小川山の廻り目平涸沢岩峰群付近(標高約1900メートル)でロッククライミング中に約10メートル落下して、けがをしました。
9日午後1時半頃、同行者から110番に救助要請があり、消防署員らが出動し、午後5時過ぎ、長野県消防防災ヘリで男性を救助し、佐久市内の病院に搬送しました。腰部骨折などで重傷とみられます。
■五竜岳 低体温症のような症状
10日、北アルプス五竜岳で、60代と70代の男女2人が登山中に行動不能となり、救助され、近くの山小屋に収容されました。
遭難したのは、神奈川県相模原市の会社員の65歳女性と栃木県宇都宮市の70歳会社役員の男性の2人です。
警察によりますと、2人は8月8日、4人パーティで柏原新道から入山し、8月10日に五竜岳山頂付近(標高約2,800メートル)を登山中に、体調不良で行動不能になりました。2人とも低体温症のような症状だったということです。
午後1時頃、同行者から長野県山岳遭難防止常駐隊員に救助要請があり、隊員2人が出動し、2人を救助し、午後2時半ごろ、近くの山小屋に収容しました。
2人にけがはないということです。
10日、五竜岳周辺は強い風雨だったということです。
■大雪渓 けが、疲労により行動不能
11日、北アルプス白馬岳では千葉県白井市の会社員の59歳男性が下山中に転倒し、けがをして、警察などに救助されました。
男性は、大雪渓(標高約1700メートル)付近を下山中に岩と岩の間に足を挟み、両膝を強く打ち、けがをしました。
11日正午前、同行者から「男性がひざを負傷して、疲労もあり動けなくなった」と110番に救助要請がありました。
警察によりますと、男性は自力で下山しようとしましたが、足の痛みに加え、当時、現場周辺では雨が降っていて、体が冷えたことが疲労につながり、自力での下山が難しくなったということです。
救助要請を受け、大町警察署山岳遭難救助隊と長野県山岳遭難防止常駐隊が出動して、男性を背負って同行下山し、午後3時40分頃、救助しました。両ひざの打撲で軽傷です。
男性は9日、親子2人で栂池登山口から白馬岳に入山していました。
■県警が注意呼びかけ
この連休、長野県内の山岳では遭難が相次ぎました。県警は「自分の技量に見合ったルート選びをする」「余裕ある登山計画を立てる」「夏でも雨や強い風にあたると低体温症になる」「こまめに休憩を取り、意識して水分・エネルギーを補給する」「下山するまで体力や集中力を切らさない」など注意を呼びかけています。